2020年度より日本の英語教育は大きく変わりました。
小学3年生からの外国語活動が必須化されるようになり、小学5年生からは科目として扱われ、成績が付きます。
小学校から英語が導入されたことにより、中学生で習っていた一部の学習内容を、前倒しして勉強します。
それに伴い、お家で英語学習環境を整えたり、習い事として英語を学んだりと、学校外での英語学習の取り組みも注目されるようになりました。
はむ先生
はじめまして。大学で英語を教えている「はむ先生」と申します。
教歴は15年ほど。現在は仕事をしつつ、4歳の息子の相手をする、そんな毎日を過ごしています。
個別相談も行っています。どうぞお気軽にご利用下さい!
私が大学院に所属していたのが2005年頃です。
ちょうど小学校に英語教育が導入しようと検討されている時期で、大学の先生方が試行錯誤していたことを覚えています。
その頃には、既に韓国や台湾で小学校英語が始まっていましたので、他国の教育を参考にして、小学生用の教科書を作っていたり、小学校の先生に英語をどのように教えるかという研修をしていたりする時期でした。
この記事では、親がどのような学習環境を整えてあげることで、子供たちにより良い学習効果を与えることができるのかについて考えていきたいと思います。
参考にしていただければ嬉しいです!
小学生英語の必修・教科化|授業はいつから始まるの?
2011年から5・6年生を対象に英語学習は始まりまっていましたが、2020年よりカリキュラムが変更されました。
具体的には、3・4年生から正式に必修化されて「外国語活動」が始まります。5・6年生からは「外国語」という「教科」になりました。つまり、テストがあり成績が付きます。
3~4年生では「聞く・話す」が中心で、5~6年生では「読む・書く」も加わります。3~4年生での必修化に伴い、1~2年生でも年間10時間程度英語学習の時間を設ける学校が増えているようです。
現在(2021年時点)、3~4年生では週1回(年間35時間)、5~6年生では週2回(年間70時間)の授業時間が割り当てられているそうです。
小学生の英語授業|必修・教科化に伴う英語教育の目標は?
文部科学省のホームページに書かれている小学校の英語教育の目標は以下の通りです。
1)小学校段階では、音声を柔軟に受け止めるのに適していることなどから、音声を中心とした英語のコミュニケーション活動や、ALT(外国語指導助手)を中心とした外国人との交流を通して、音声、会話表現、文法などのスキル面を中心に英語力の向上を図ることを重視する考え方(英語のスキルをより重視する考え方)
2)小学校段階では、言語や文化に対する関心や意欲を高めるのに適していることなどから、英語を使った活動をすることを通じて、国語や我が国の文化を含め、言語や文化に対する理解を深めるとともに、ALTや留学生等の外国人との交流を通して、積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育成を図り、国際理解を深めることを重視する考え方(国際コミュニケーションをより重視する考え方)
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/004/siryo/attach/1379940.htm
1の考え方が英語のスキルの向上を目標とするのに対して、2の考え方は、英語を用いて、言語や文化に対する理解、積極的にコミュニケ-ションを図ろうとする態度、国際理解を深めることを目標とするものといえます。
文部科学省では、中学校での本格的な英語学習開始を踏まえると、小学校英語教育では2の考え方を基本とすることが適当であると考えると示しています。
しかし、英語スキルの向上に関しても、小学生の柔軟な適応力を生かして、英語の音声や基本的な表現に慣れ親しみ、聞く力を育てることなどは適切としています。
小学生英語の必修・教科化|塾はいつから必要?
家庭では具体的にどのような英語環境を用意することができるのでしょうか。
人の言語習得過程を踏まえながら、
- 小学生の子供さんの国際的志向性
- 英語の基礎力を高める
ために、どのような学習環境が適切かを考えていきたいと思います。
小学生の英語学習|人が言葉を習得する順序を理解しよう
一般的に人間は自然に言葉を使えるようになると考えがちですが、10年以上のほどの長い時間をかけて、自由に言葉を操れるようになっていきます。
母語習得の過程 | |
妊娠6ヵ月頃 | 聴覚が発達し始め、外の音やお母さんの声を聞くことができるようになる |
1歳 | 0歳でたくさんの言葉を話しかけられることにより意味のある単語を話すようになる |
2歳 | 爆発的に単語数が増え、文章が話せるようになる |
5歳 | 母語の基礎が完成する |
6~7歳 | 聞いた言葉と文字を結び付けられるようになる |
10歳 | 母語を使って抽象的な思考ができるようになる |
それ以降 | 敬語や難しい語彙、表現などを学んでいく |
小学生から英語を学習するということは、母語である日本語の基礎が完成する時期と重なります。
母語である日本語の基礎力が完成していることにより、しっかりと考えられる力、新しい事柄を学ぶ力を持っている時期という見方もできます。
小学生では、外国語を学ぶには遅すぎるという印象があるかもしれませんが、そのようなことはありません。
一方、母語の基礎力がまだ完成していない幼児期とは異なるという点を理解した上で、英語学習環境を整えてあげる必要がありそうです。

小学生の英語学習|何歳からでも大丈夫!
基本的には子供も大人も同じで、言語習得には大量のことばのインプットが必須の条件です。
言葉を習得するのに、話す・書くなどのアウトプットの必要性があるかという議論は専門家の間でも意見が分かれていますが、インプットなしに言語習得は起こらないという点では意見が一致しています。(白井, 2008)
従って、小学生の子供の場合、まずはたくさんの英語を聞くというのが大前提となります。
小学生英語の必修・教科化|塾だけではない学びの場
小学生の英語学習|自宅で取り組めるおすすめ英語教材
小学生におすすめの教材
子供が内容を楽しみながら取り組める英語教材
はむ先生
私は【しちだ式タッチペン教材】をおすすめしたいと思います。
日本語習得の基礎が完成している小学生になると、幼児期には効果が見られる「聞き流し」では英語習得ができなくなり、倍速学習などを始めとする他の学習方法を取り入れる必要が出てきます。
(教材説明には幼児期におすすめと書かれているのですが)私は小学生に効果的な英語教材だと思います。
注)小学生に適した学習方法についてはこちらの記事にまとめています。
【最新学習法!】世界の七田式メソッドを取り入れた話題の英語教材!
七田式教育は幼児教育を行ている機関なので、教材の対象年齢は0歳から6歳とかかれていますが、世界を旅するというコンセプトを用いたこの教材は、小学生に向いていると思います。
タッチペンを使った学習目標は、1日7分間の学習で20個のフレーズ(全部で約700フレーズ)を完全に暗記することです。
- 挨拶のフレーズ
- 食事をする時のフレーズ
- 乗り物に乗る時のフレーズ
- 買い物をする時のフレーズ
- 大きさや長さ、時間を表すフレーズ
- 得意なことや苦手なことを表現するフレーズ
フレーズの内容は、上のような日常生活における場面でよく使われるもので、ネイティブが厳選した言葉が選ばれています。

使い方は3ステップで簡単です。
- Step1 タッチペンから日本語が流れるのを聞く(意味を理解する)
- Step2 英語が流れるので、それをリピートする
- Step3 音読をする
日常生活に使われる言葉を700フレーズを暗記できるだけでも、そこそこの量になりますので、こちらの教材のみで世界に目を向けながら英語を習得できるという目的に沿った学習ができると思います。
小学生の英語学習|英会話スクールを利用する
現在、英会話スクールには
- 通常の教室に通うタイプ
- オンラインで自宅で受けるタイプ
の2種類があります。大まかに、下の図のような違いがあります。
教室に通うタイプ | 自宅で受けるタイプ | |
送り迎え | 必要 | 不必要 ただし、インターネット契約、 パソコンやタブレット利用が必須 |
レッスン形式 | グループレッスンが多い | マンツーマンレッスンが中心 |
レッスン時間 | 45~50分前後 | 20~30分前後 |
値段 | 1万円前後・週1回 マンツーマンの場合は3万円近く | ネイティブ講師6000円前後 ノンネイティブ講師4000円前後 |
教材 | 教材費が必要な場合が多い | 教材は必要ない場合が多い |
こんな人におすすめ! | お友達との交流が好き 体を動かすことが好き じっとしているのが苦手 比較的時間が自由になる 他の親御さんとの交流がしたい パソコン操作が苦手 顔を合わせた交流 楽しい経験を重視 | 控え目、恥ずかしがり屋 送り迎えの時間がない 隙間時間を有効活用できる パソコン操作に抵抗がない 英語力向上を重視 低価格でレッスン頻度を上げたい |
以下では、3つのタイプを例に挙げ、どのような子供さんやご家庭に、どのような英会話レッスンが適しているのかを書いていきたいと思います。
対面+マンツーマンレッスン
タイプ1
お金がかかっても英語習得の効率を重視したい
英語習得の効率のみを考えれば、顔を合わせながら話ができる教室での対面レッスン、なおかつ発話量の増えるマンツーマンが一番良いと思います。
ただ、授業料が高いです。レッスン料を工面できれば、こちらがおすすめです。
自宅+マンツーマン
タイプ2
お金は安くあげたいが、英語習得の効率を重視したい
この場合は、発話量を確保できるマンツーマンレッスンで、レッスン料が安いオンライン英会話スクールがおすすめです。

ネイティブ講師のレッスンでも、教室に通うタイプのレッスンに比べ、6-7割程度の値段でレッスンを受けることができます。
ノンネイティブ講師のレッスンでしたら、教室に通うタイプのレッスンに比べ、3-4割程度の値段でレッスンを受けることができます。
ネイティブ講師でしたらアメリカ、イギリス、カナダ、南アフリカなど先生が採用されています。ノンネイティブ講師にはフィリピン人の講師が採用されています。
フィリピンでは英語が公用語となっているため英語力が相対的に高いです。また、国際的な志向性を育てるにも適していると思います。
対面+グループレッスン
タイプ3
まずは英語に慣れ、英語を使う楽しさを知って欲しい
一般的に知られている教室に通うグループレッスンは、同年代のクラスメートと一緒にレッスンを受けられます。
外国人の先生と英語を使った楽しい時間を過ごすことを目的とする場合におすすめです。
レッスン時間は1時間弱とマンツーマンレッスンよりも長い場合が多いですが、一人当たりの発話時間はどうしても短くなります。
英語習得の効果を重視される場合には、別の方法が良いかと思いますが、まずは英語を好きになって欲しいという場合にはお勧めです!
小学生英語授業の必修・教科化|英語学習を始めるにあたって
小学生にとっての主な英語教育の目的は、異文化を知り、興味をもち、それを受け入れることができる国際的な志向性を育むことです。
はむ先生
しかし、英語を習わせるにはそれなりの費用もかかりますので、効果を期待したいという一面があるのも事実だと思います。
小学生の英語教育においても、英語学習効果を高めるには、何らかの方法を使って英語をたくさん聞いてもらうことが必要になってきます。
それは、どのような言語を学ぶにも、その言葉の大量のインプットが言語習得においては欠かせない要素だからです。
英語を使えるようになって欲しいと思うと、話すこと(アウトプット)に目が行きがちですが、話すことを強制する前に、たくさんの英語を聞く(インプット)が必要であることを覚えておいて頂きたいと思います。
日本の環境下で育ってきた子供さんであれば、小学生1年生であっても日本語の基礎力は出来上がっているでしょう。それは言い換えると、物事を考える言語力をもっており、それは英語学習に活用できるということです。
例えば、文法構造を問う問題を解いたり、本を読んだりするときにも、その能力は発揮できると思います。たくさん英語を聞いた後には、その能力を存分に生かして英語学習を進めていくことをおすすめします。
一方、いくら恵まれた学習環境が用意されていても、やらされている状態では効果が出にくいと言えるでしょう。
学習動機づけの観点からは、子供さんが楽しいと感じたり(内発的動機付け)、年齢によっては英語ができるようになりたい理由を明確にしたりする(外発的動機付け)などして、自らの意思で主体的に学べるよう導いてあげられると高い効果が見込めると思います。
最後までお読みくださり、ありがとうございました!