英語の絵本やチャプターブックを読めるようになってくると、おうち英語はまた少し違う段階に入っていきます。
英語を聞く、話す、読む、書く。
そうした力が少しずつ育ってくると、「この先は何をすればいいのだろう」と迷う方もいると思います。
大学英語講師はむ先生英語講師の「はむ先生(村上里実)」です。教歴は15年、大学で非常勤講師を務め、第二言語習得を専門としています。
ただし、そこへ向かう道は1つではありません。
英検や多読を続けるのか。英語でニュースや知識に触れるのか。親はどこまで関わればいいのか。
おうち英語の先にあるのは、単に「英語が得意な子」を目指すことだけではありません。
英語を通して知識を得たり、自分の考えを深めたりしながら、「英語で世界を広げられる子」になることが大切だと思います。
この記事では、ことばの発達の4つのフェーズのうち、最後にあたる「英語を学びの道具にしていく」段階について、家庭でできることと、家庭で頑張りすぎなくていいことを整理してお伝えします。
▷ 4つのフェーズの全体像はこちら:おうち英語の全体像|ゆるく続けて成果を出す4つのフェーズ
フェーズ4とは「英語を使って学ぶ」段階

フェーズ4は、英語そのものを学ぶだけでなく、英語を使って知識を得たり、自分の考えを深めたりしていく段階です。
- フェーズ1:英語を聞いて分かることばを増やす
- フェーズ2:ためてきたことばを使って、人とやり取りする経験を積む
- フェーズ3:音と文字の関係を学び、英語を読んだり書いたりする力を育てる
- フェーズ4:その先に進へ
英語の本を読んで、新しい世界を知る。英語の記事や動画から、科学、歴史、社会、文化について学ぶ。読んだことについて、自分の考えを話したり書いたりする。
英語が「勉強する対象」から、「学びの道具」へ変わっていく段階です。
ここで大切なのは、日常会話ができることと、学習を支えることばの力は別物だということです。
英語であいさつをしたり、好きなものについて話したりする力は、比較的早く育つことがあります。
一方で、本を読んで内容を整理する、理由を説明する、意見を述べる、抽象的なテーマについて考える、といった力は、もっと長い時間をかけて育っていきます。
日本語でも同じですよね。
小学校低学年の子どもは、日本語で日常会話ができます。でも、説明文を読んで要点をまとめたり、社会の出来事について自分の意見を書いたりする力は、学年が上がる中で少しずつ育っていきます。
現役英語講師はむ先生学校での学びが言語力を高めていますね
知識を伴う言語力は時間をかけて伸ばす

英語でも、日常会話ができるようになったからといって、すぐに英語で高度な内容を学べるわけではありません。
学習を支える「知識を伴う言語」の力は、12〜15歳頃まで、時間をかけて発達していくものだと考えるとよいと思います。
だからこそ、フェーズ4は「英語ができるようになったから終わり」ではありません。
むしろ、ここから
- 英語を使って何を読むか
- 何を知るか
- どんな考えを持つか
が大切になります。
この段階では、親が細かく教えるよりも、子どもが興味を持てる英語の世界を広げていくことが大切です。
英語の本、ニュース、動画、ポッドキャスト、英語で学べる教材。
その子の関心に合うものを少しずつ増やしていくと、英語は「勉強」から「自分の世界を広げる道具」になっていきます。
フェーズ4が始められるサイン

うちの子はフェーズ4に入っているのかな、と迷ったときは、次のような様子を見てみてください。
- チャプターブックや文章中心の本を、自分から読み進める
- 英語の本や動画から、新しい知識を得ようとする
- 読んだこと、見たことについて、自分の考えを話したがる
- 英語を「勉強」だけでなく、情報を得る手段として使い始めている
すべて揃っている必要はありません。
ただ、英語の本を読むことが特別なイベントではなくなり、内容そのものに興味が向き始めたら、フェーズ4の入り口にいると考えてよいと思います。
たとえば、恐竜について英語の本で読む。好きなゲームの英語情報を調べる。海外の子ども向けニュースを見る。英語の動画から工作や科学実験をまねしてみる。
こうした姿が見えてきたら、英語は少しずつ「学びの道具」になっています。
フェーズ4・英語で知識を深めるためにやること
この段階でやることは、大きく3つに分けられます。
順番に見ていきましょう。
①チャプターブックへの移行と読書の習慣化

フェーズ4でまず大切にしたいのは、英語の読書を続けることです。
フェーズ3では、フォニックスややさしいリーダー、多読を通して、「英語を読む」力を育ててきました。
フェーズ4では、そこから少しずつ、文章中心のチャプターブックへ移行していきます。
チャプターブックとは、章に分かれた子ども向けの読み物です。絵本より文字量が多く、登場人物やストーリーを追いながら読み進めていきます。
最初は、1冊を読むのに時間がかかっても大丈夫です。
大切なのは、難しい本に急いで進むことではありません。
お子さんが「読みたい」と思える本を、少しずつ続けて読むことです。
英語の読書は、語彙や文法を増やすだけでなく、考える力にもつながります。
物語を読む中で、登場人物の気持ちを想像する。なぜそうなったのかを考える。次に何が起きるかを予想する。
こうした経験は、英語を学ぶだけでなく、英語で考える土台になります。
最初のチャプターブックとしては、Nate the Greatのような短めのシリーズから始めると入りやすいと思います。
▷ Nate the Greatシリーズ|多読にどう?あらすじと英語レベルを紹介
読む本が増えてきたら、読んだ本や語数を記録していくのもおすすめです。
多読は成果が見えにくい取り組みなので、読んだ本がたまっていくことが、続ける支えになります。
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アプリをつかってみる ▷ 使い方を見る ≫②英語で知識を得る

フェーズ4では、物語を読むだけでなく、英語で知識を得る経験も増やしていきたいところです。
たとえば、子ども向けの英語ニュース、科学や歴史の読み物、動物や宇宙についての動画などです。
英語で何かを学ぶ経験が増えると、英語は「テストのためのもの」ではなくなっていきます。
知りたいことがあるから読む。好きなテーマだから聞く。もっと分かりたいから調べる。
この流れができると、英語との関わり方が大きく変わります。
ただし、ここでも背伸びしすぎないことが大切です。
いきなり大人向けのニュースや難しい記事を読む必要はありません。
子ども向けに書かれた短い記事や、写真・イラストが多いもの、音声や動画がついているものから始めるとよいと思います。
英字新聞や子ども向けニュース教材も選択肢になります。
▷ 初心者におすすめ|The Japan Times Alpha Jのレビュー記事を読む
英語で知識を得るときは、内容について日本語で話しても大丈夫です。
「何が面白かった?」「これって日本だとどうかな?」「自分だったらどう思う?」
そんな会話を日本語でしても、英語で学んだ内容はちゃんと子どもの中に残ります。
英語だけで完結させようとしなくてよいと思います。
大切なのは、英語を通して世界を広げることです。
③大人も一緒に学び直す

フェーズ4に入ると、親の役割も少し変わっていきます。
小さい頃のおうち英語では、親が環境を整えたり、教材を選んだり、レッスンを予約したりする役割が大きかったと思います。
でも、子どもが英語で本を読み、知識を得る段階になると、親がすべてを管理するのは難しくなっていきます。
この時期に大切なのは、親が先生になることではありません。
むしろ、親自身も一緒に学ぶ姿勢を見せることだと思います。
子どもが読んでいる本を一緒にのぞいてみる。英語の記事を読んで、「これ面白いね」と話す。親も英語を学び直してみる。
そうした姿は、子どもにとって「英語は子どもだけがやらされるものではない」と感じるきっかけになります。
親が完璧な英語を話せる必要はありません。
知らない単語があっても、「これどういう意味だろうね」と一緒に調べれば大丈夫です。
むしろ、大人も分からないことを調べながら学ぶ姿を見せることは、子どもにとってよいモデルになります。
英語を学び続ける大人が身近にいること。
それは、フェーズ4の子どもにとって大きな支えになると思います。
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フェーズ4でやらなくていいこと

フェーズ4では、英語力がついてきたからこそ、ついさらに高い目標を求めたくなることがあります。
でも、この段階でも手放してよいことはあります。
まず、1つ目に難しい本を無理に読ませなくて大丈夫です。
チャプターブックが読めるようになると、次はもっと長い本、もっと難しい本へ進めたくなるかもしれません。
でも、多読で大切なのは、気持ちよく読める本をたくさん読むことです。
難しい本を1冊がんばって読むより、少しやさしい本を何冊も楽しむ方が、結果的に力になることがあります。
また、2つ目として英語だけで考えさせようとしなくて大丈夫です。
英語で読んだ内容について、日本語で話してもよいと思います。内容理解や考える力は、母語である日本語にも支えられています。
英語で読んで、日本語で考え、また英語に戻る。
そうした行き来があっても、学びはちゃんと深まります。
そして、最後3つ目に英語を成果だけで見なくて大丈夫です。
英検、語数、読んだ本の冊数は、目安として役立ちます。
でも、それだけを見ると、英語がまた「評価されるもの」になってしまいます。
フェーズ4では、「英語で何を知ったか」「何を面白いと思ったか」「どんな考えを持ったか」を大切にしたいところです。
フェーズ4の先にあるもの

フェーズ4は、4つのフェーズの最後にあたります。
でも、ここでおうち英語が終わるわけではありません。
むしろ、英語がその子の世界を広げる道具になっていく入り口です。
- 英語の本を読む
- 英語で情報を得る
- 英語で人と話す
- 英語で自分の考えを伝える
こうした経験を通して、英語は少しずつ「教科」から「自分の力(ことば)」へ変わっていきます。
この段階まで来ると、親ができることは、前に引っ張ることより、横で支えることかもしれません。
子どもの興味を一緒に見つける。合いそうな本や教材を探す。英語を使う機会をゆるく用意する。
そして、子どもが自分のペースで英語と関わっていけるように、見守っていく。
それで十分だと思います。
読み書きや対話の育て方は、お子さんの英語経験や興味によって、合う進め方が変わります。
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