2020年より小学校に「英語」が科目として導入されました。
アルク社の調査(2020)では、小学生の全ての学年において、約7割の保護者が学校外での英語学習に取り組ませたいと考えているという結果が出ています。
中学生から英語教育が開始された一昔前に比べ、保護者の意識にも変化が見られています。
はじめまして!
英語講師の「はむ先生」と申します。
教歴は15年ほど。現在、大学の非常勤講師として働いています。
子供の教育全般に関して、将来子供が自分らしく幸せに生きていける力を付けてもらいたいというのが、全ての親に共通する願いでしょう。
英語はその点に関して、どのように役立つことができるのでしょうか。
この記事では、
- 小学生になったら、英語をやるべき?
- 英語を授業外で学ばなかった場合、どうなる?
そんな皆さんの素朴な疑問にお答えできればと思います。
参考にしていただければ幸いです!
小学生になれば英語をやるべき?
小学生になったら英語を勉強し始めるべきなのでしょうか?
実は、英語習得のことだけに焦点をあてて答えるなら、そこにあまり迷いはなく、小学生から英語をやるべきと回答できます。
乳幼児期とは違い、母語習得に対する弊害が起こる可能性もほぼなく、小学生から英語を始めるメリットは数多くあります。
しかし、小学生から英語をやるべきかどうかの判断は、総合的に考える必要があるとも思っています。
小学生から英語をやらないとどうなる?
小学生から英語をやるべきメリットは、後に述べますが、小学生から英語を始めないことによるデメリットはあるのでしょうか。
私は次の2点
- 親世代と同じ英語教育を受けることになる
- クラスメートとの差が大きくなる
だと考えています。
基本的に言語の習得は、聞いて分かる(リスニング)→話せる(スピーキング)→読める(リーディング)→書ける(ライティング)の順序を守ることにより、うまく言葉を使えるようになっていきます。
中学生からは、親世代が受けてきたような英文法の学習が本格的に始まります。
小学生のうちに、英語を聞いて分かる力を付け、簡単な日常会話くらいできるようにさせておくと、その後がスムーズです。
もう1点は、クラスメートとの差が大きくなることです。
個人の持つ能力に関わらず、言語習得には一定の長い時間が必要です。
そのスタートを小学生にするか、中学生にするかでは、大きな差が生まれることは、理解しておいても良いでしょう。
小学生から英語を無理にやらせるとどうなる?
小学生から英語を始めるかどうかの判断は、総合的に行うべきだと考える理由は、そこに子供の意思を反映させるべきだと思うからです。
子供自身が少なくとも「やってもいい」と感じていなければ、無理に英語を学ばせる必要はないと私は考えています。
英語を学ぶメリットを伝えたえうえで、最終判断は子供に託すのが良いと思います。
日常生活で英語に関わることがほぼない日本で、「英語が大好き」という積極的な態度を期待するのは難しいと思います。
しかし、幼稚園や小学生で出会った外国人の先生(英語体験)に対して、「楽しかった」「またやりたい」というような好意的な気持ちは持ち得ても良いと思います。
肯定的な気持ちがないのに、無理に英会話スクールなどに通わせれば、英語嫌いを作り出します。
嫌いになったものを好きにさせることの方が困難です。
小学生から英語をやるべき具体的な理由
言語習得の側面から見れば、小学生から英語を始めることは決して早すぎないと言えます。
母語である日本語習得との兼ね合いもありますので、早ければ早いほど良いという単純なものではありません。
しかし、小学生という年齢になれば、母語である日本語の基礎はできあがっています。
英語学習を始めることによるデメリットは、特に見当たあらず、逆に早く始めることによるメリットは大きいと言えるでしょう。
小学生は言語形成期の真っただ中!
人間は何歳からでも言語を身に付けられますが、言葉を身に付けやすい時期が存在します。
その時期は0歳から12歳(遅くとも15歳)までで、専門用語では言語形成期と言われています。
特に、0歳~7歳頃の言語形成期前半は、言葉を自然に身に付けられる時期だということが分かっています。
環境さえ整えば、本人の努力関係なしに言葉を身に付けられる、特別な言語能力が備わっている時期なのです。
言語形成期後半(8歳から15歳)に入ると、本人の意識した学習が必要になりますが、大人に比べてまだまだ言語習得能力は高いと言えます。
中学生になると英語を話したがらない!
小学生から英語を始めるべき最大の理由は、英語を口にすることへの抵抗が低いことだと思います。
英語を始めとする外国語は、言葉ですから、使わなければ上手くなりません。
スポーツと同じく、頭の中でいくら考えていてもダメで、とにかく実際に使ってみることで言語能力が高まります。
男女で差はあるように感じますが、小学生の終わり頃から中学生という年齢は、成長と共に周りの目が気になりだす年頃です。
女の子は早いかもしれません。小学3~4年生頃から反抗期の兆候が見られるようです。
中学生になれば、英語を使うことに抵抗を示す子供が更に増え、英語習得においては悪循環であることは覚えておいても良いと思います。
英語習得には長い時間がかかる!
英語に限らず、言葉を身に付けるには長い時間がかかることは理解しておくべき点です。
母語である日本語の完成は、中学校を卒業する15歳だと言われています。
毎日、日常生活の中で日本語を使い、学校教育でも日本語で学んでいても15年かかるのです。
日本人が「英語の基礎力」を身に付けるのに必要な学習時間は2500~4000時間だということが、調査により分かっています。
言語習得が得意な人で2500時間です。
2500時間というと、1日1時間取り組んだとして約7年です。
私自身が英語習得に費やした時間を振り返っても、妥当な時間だと感じます。
中学生から急いで詰め込むよりも、小学生から始めるのがちょうど良いくらいだと、個人的には思います。
小学生から英語をやるべきかという疑問が湧く理由
国語や算数などの教科学習は小学生から始まり、それは一般的に受け入れられています。
英語学習となると、なぜ躊躇する保護者が多いのでしょうか。
今一度、小学生から英語をやるべきなのか悩む理由を整理してみたいと思います。
日本では日常生活に英語が必要ない
英語を科目の1つとして捉えていれば、試験対策のために小学生から勉強する必要はないと感じるかもしれません。
英語が日常生活で必要のない日本で暮らしている限り、英語は絶対に必要な言葉ではないことは確かです。
英語ができなくたって生きていけます。
しかし、今現在の世界において、英語は力をもっている言語であり、高い英語力を持つことは評価対象の1つです。
また、社会的な評価だけでなく、個人的な人との関わりが、英語を身に付けることで世界に広がることは確かだと感じます。
働く場所や住む場所の選択肢も世界に広がり、そこで新たな人と出会いが生まれます。
私が個人的に英語を身に付けて良かったと感じるのは、大切な友人との出会いに恵まれたこと、日本の価値観に縛られない多種多様な広い世界を見られたことです。
英会話に通っても話せるようにならないという実例が多い
日本の英語教育の成果があまり見られないというのは、小学生から英語を勉強させても仕方がないという気持ちにさせる1つの原因のように感じます。
もし周りに小学生から勉強させたことで、英語が流暢に話せるようになったという人ばかりだったら、状況は変わる気がします。
英語学習は「取り組み方」と「頻度」です。
確かに、週1回英会話スクールに通わせるだけでは、いつまで経っても英語は話せるようになりません。
先述したように、英語を身に付けるまでには時間がかかりますから、何らかの方法で英語を日々の生活に取り入れる必要があります。
中学生から始めても英語を身に付けられた人がいる
世の中には、中学生以降から英語学習を始めるなど、開始年齢が遅くても英語を高度なレベルまで高められた人もいるでしょう。
私も中学生から英語学習を始めているので、そのうちの一人かもしれません。
そういう人達は、恐らく以下のどれかに当てはまっていると思います。
- 本人が努力をした
- 英語が好きだった
- 外国に興味があった
- 良い先生と出会った
- 学習環境が整っていた
私は1、3、4、5かな?
長く時間のかかる英語習得に、1番の本人の努力は不可欠です。
英語を身に付けている人は、どこかの地点で、相当な時間を英語学習に費やしています。
その他、2~5番は本人の興味と学習環境により左右されると思います。
幼い頃から英語学習を始めるメリットは、本人の努力とは無関係に自然に英語が身に付くという点です。
私も相当な時間を英語学習に費やしてきましたが、非常に魅力的に感じます。
小学生から英語を始めるおすすめの方法
子供に合った適切な方法で英語に取り組めば、誰でも必ず英語を身に付けられます。
この「子供に合った適切な方法」を一緒に探していくのが、親御さんの役割です。
- 子供はどんな性格か
- 今の子供の興味は何か
- 適している学び方は何か
この3点をよく考慮して、毎日の生活に英語を取り入れる方法を探して下さい。
決して無理はさせず、放っておいてもやるような、そんな仕組みづくりができればベストだと思います。