英語を習得するには2000時間必要という話は、どこから来たのでしょうか。
2000時間というと、
- 1時間×2000日(約5年5か月)
- 3時間×666日(約1年10か月)
- 5時間×400日(約1年1か月)
こんなくらいの長さです。
イメージはつかめるのではないかと思います。
はむ先生
はじめまして。大学で英語を教えている「はむ先生」と申します。
教歴は15年ほど。現在は仕事をしつつ、4歳の息子の相手をする、そんな毎日を過ごしています。
個別相談も行っています。どうぞお気軽にご利用下さい!
私がこの2000時間必要という話を始めて聞いたのは、息子が赤ちゃんのときです。幼児英語教材で有名なディズニー英語システムの営業マンからでした。
その時は、営業トークの1つだろう程度に聞いていましたが、実際に英語習得にはどのくらいの時間がかかるのか、科学的に調査されているのかを調べてみることにしました。
結果
根拠はない
→ 習得には2500~4000時間が必要
実際、英語習得には2500~4000時間と更に長い時間が必要で、学校だけの英語授業ですら全く足りていないことが分かりました。
ただ、目安としてまずは2000時間の確保を目指すというのは良いと思います。
この記事では、
- 日本人が英語習得に必要な学習時間
について、立命館小学校の先生が書かれている、正頭英和著『世界トップティーチャーが教える 子どもの未来が変わる英語の教科書』(講談社出版)より一部を抜粋、内容をまとめていきたいと思います。
はむ先生
教員でなくともオススメしたい1冊です!
英語習得に必要な時間は2000時間以上!

英語習得に必要な学習時間
2500~4000時間
一般的に英語を身につけるには、2500時間から4000時間の学習が必要と述べられています。
球技にセンスが良い人と悪い人がいるように、英語にもセンスのあり・なしがあるからです。
センスに優れたタイプは2500時間で習得できたとしても、センスに乏しいタイプは4000時間要することもあることが分かっています。
はむ先生
英語教育の分野では、言語習得に対するセンスの有無を「個人差要因」として調査しています。
同じ勉強をしたはずのAさんとBさんの間に、成果の違いがあるぞ。なぜだろう?
こんな疑問を明らかにする研究分野です。
変えられない要因ではありますが、性別もその1つで、男性より女性の方が言語習得に対してセンスが良いことが分かっています。
深く考えず、生まれ持った自分の特性と考えた方が、うまくいきそうです。
学校教育の英語授業時間はどれくらい?
週4コマずつ英語を10年間学び続けた英語学習時間
約1200時間
英語の授業が週4コマあると仮定し、1コマ45分だとすると、年間で140時間ほどの授業時間になります。
はむ先生
英語は国語と同じ時間数、授業時間が確保されています。
実際には行事やイベントなどで授業時間が削られることがありますから、実質は年間120時間程度でしょう。
小学校3年生から高校3年生までには10年間あるので、約1200時間の計算になります。
先ほど述べましたが、英語が身につくまでの必要学習時間は2500~400時間です。
1200時間は2500時間の半分、4000時間の3分の1以下に過ぎません。
使える英語を身につけるためには、学校の授業で英語を学んでいるだけではどうしても足りないということが起こります。
授業外での英語学習時間を増やすには?
学校での授業だけでは時間が足りないのですから、授業中以外で英語を自主的に学ぶ時間を増やす必要があります。

本書ではこうも述べられています。
逆に言えば、「英語教育に熱心な私私立校と違って、うちの子が通っているのは普通の公立だから」と諦める必要もないのです。もともと、学校で学べる時間では、圧倒的に足りないのですから。
p.75
こうなると、親の立場から「じゃあもっと自宅の課題を増やしてもらわないと」となりそうですが、正頭先生はこう警告しています。
明治以来、日本人は120年以上このスタイルで英語を勉強してきて4技能が身につかなかった、という過去があるのですから、同じ轍(てつ)を踏んではなりません。
p. 75
必要なのは、英語が学びたくなるような仕掛け作りだとアドバイスされています。
2000時間でも十分?目指したい英語力はどの程度?

英語で何をしたいかを明確にしよう!
目的達成には、どのレベルの英語が求められるのか、何を目指せばよいのか逆算することができるからです。
外国語を習得するには長い時間が必要です。
逆にいうと、時間さえかければ「誰でも」外国語は習得できます。
英語は言葉であるので、センスがないから習得できないというようなことは起こらないのです。
はむ先生
皆さんは英語学習の目的をどのように考えられているでしょうか。
言語習得にはレベルがある
外国語教育学の分野では、言葉習得にはレベルがあると捉えています。
BICS(Basic Interpersonal Communicative Skills)とCALP(Cognitive Academic Language Proficiency)です。
BICS
日常的に使われる会話能力
CALP
認知学習能力で物事を深く考えたり学んだりできるレベルの国語力
一般的に多くの人が想像する「英語を使える人」というのは、日常会話能力(BICS)を持つ人を指すのではないでしょうか。
外国人に道を尋ねられ答えられる、楽しそうに話ができるなど、憧れの的となりますね。
しかし、日常会話レベルを目指したい英語力とするならば、1500時間~3000時間でも大丈夫かもしれません。
一方、物事を深く考えられ、英語ネイティブと対等に仕事ができるCALPレベルで話せて、読めて、書ける能力を求めるならば、4000時間でも足りないでしょう。
はむ先生
語学力を高めるって大変です!
日本語を一生をかけて言語力を高めていくように、英語も自分の言葉として磨いていく努力が必要となります。
自分が目指したい目標によって必要な学習時間は大きく異なると言えそうです。
英語学習に2000時間以上投資する価値はどこにあるのか?

英語が使えるようになるには、長い時間かかることが理解できたと思います。
2500~4000時間あれば、どのような分野のことであれ、多くの目標は達成できそうな時間です。
個人的な理由に英語を結び付けられる場合は良いのですが、英語を勉強する理由が見当たらない場合はどうでしょうか。
これだけの長い時間を英語学習に費やす価値はどこにあるのでしょうか。
はむ先生
英語だけではないかもしれませんが、勉強は楽しいことばかりではないですし、うまく進まないことも多いですよね。
得意科目ではない場合は、特に「なんで英語の勉強をしなくちゃいけないのか」と子供からも尋ねられることも多いと思います。
本書に面白い視点で英語学習の目的・価値が書かれていたので、ご紹介させて頂きたいと思います。
英語は「経験値を増やす行動力」を高める力となる
本書では、AI時代の教育のあり方や英語の位置づけについて触れられており、教育は知識重視から経験重視へシフトしていくと述べられています。
それはテクノロジーの進歩により、知識で測るような学力では大きな差が生まれなくなっているからです。
確かに、検索すればすぐに正解が分かる時代に、詰め込んだ知識だけで学力を測ろうとするのはナンセンスです。
誰もがスマホで電卓機能を持ち歩くようになった時代に、計算力ばかりを高めても仕方がないのと同じです。
大切なのは知識で測る学力よりも、経験を生み出す行動力だと正頭先生は述べています。
そして、英語を学び使えるようになることは経験値を増やしてくれる行動力に火をつけてくれると言います。
英語を学ぶと行動力が高まる理由は、次の通りです。
- 英語という新たなスキルを身につけることで自信が生まれる → 自信が生まれると失敗を恐れずに行動し、経験値を高められる
- 英語を覚えると使ってみたくなる → それが外国人と話す、海外に行く、といった行動力を高めてくれるきっかけになる
- 英語を身につけると出会う人とそこから得られる情報が変わる → 出会いが変わり、出会う言葉が変わり、視野が広がる
海外に出ることが全てではないと思いますが、英語力を付けることで知り得ることのなかった世界との繋がりができることは確かだと感じます。
はむ先生
短期留学に参加するだけでも、日本にいては知り得なかった体験ができますね!
必要な学習時間は2000時間以上だった!英語を楽しく学べる環境づくり

親が子供にできることは「楽しく学べる環境づくり」だと思います。
子供に押し付けず、子供自身に興味をもってもらいながら、英語学習時間を延ばしていくことができれば、理想です。
ただし、英語習得の視点から見ると、何から初めても良い訳ではありません。
要点だけを伝えると、
- 自宅で毎日たくさん英語を聞く
- たまに英語を話す機会をもつ
この2点が大切です。
はむ先生
言葉は突然話せるようになるわけではなく、たくさん聞いてから、初めて自分の言葉として口に出すようになります。
子供さんが未就学児なら、英会話スクールを急ぐ必要はなく、自宅でたくさん聞かせることがうまくいくポイントです。
小学生以降は、たくさん聞くことはもちろんですが、英会話スクールも同時進行することをおすすめします。
詳しいやり方は、以下の記事にまとめています▽

