幼い子供が英語を身に付ける方法として英語をBGMのように流す「かけ流し」はよく知られています。
英語を身に付ける上で「英語をたくさん聞くこと」は絶対条件であることは間違いなく、効果的な学習法の1つと言えそうです。
はじめまして!
英語講師の「はむ先生」と申します。
教歴は15年ほど。現在、大学の非常勤講師として働いています。
一方、映像などの「言葉の意味を理解する手がかりを与えない」かけ流しは、誰にでも効果がある訳ではないことが分かっています。
例えば、難しい言葉を使った楽曲でも子供に聞かせ続けたら、いずれ丸暗記するかもしれませんが、その歌の意味はいつまで経っても理解できないでしょう。
おうち英語は「子供の成長に合わせた対応」が常に必要だと言えるでしょう。
この記事では、
- かけ流しが効果的な理由
- 効果的なかけ流しの方法
- かけ流しにおすすめの教材
を紹介していきたいと思います。
おうち英語|かけ流しの効果は赤ちゃんから幼児期までが顕著!
英語習得における「かけ流し」という学習方法は、聞いている内容をあまり意識せずBGMのようにかけ流すことを指します。
外国語である英語を身に付けたい場合、英語を大量に聞くことが欠かせません。
しかし、学習者の年齢によって効果的な英語の聞かせ方は異なることが分かっています。
年齢が上がると意味の分からない言葉を延々ときいていても、ただの雑音にしかならなくなります。
意味理解を伴わない「かけ流し」が効果を発揮するのは非常に短期間なのです。
意味理解を伴わない音声のかけ流しでは、基本的に言葉は身かないことは知っておくと良いでしょう。
かけ流しが効果的な理由は?
かけ流しが効果的な理由は、人間の生まれ持った言語習得能力に関係しています。
言葉というのは「規則を持った音のかたまり」です。
言葉を身に付けるとは、脳が「ランダムな音」を「意味のある言葉」として理解できるように処理した結果と言えます。
人間にはこの無意識で行われる言語処理を得意とする時期があり、それが乳児期なのです。
専門用語では言語形成期と呼ばれています。
調査の結果から、人間は生後6か月~1歳の時期に、自分の周りで話されている言葉に使われている音がよく聞き取れるように調整することが分かっています。
※ 専門用語では刈り込みとして知られています。例えば、親御さんが日本語を話しているのであれば、日本語に含まれる音が優先的に聞き取れるよう強化していき、不必要な音は減らしていきます。
日本人が英語で必要な L と R の音の区別が苦手となるのも、母語である日本語の習得を促すためです。
逆に言えば、この生後6か月から1才頃から英語をかけ流すことで、英語を聞き取れる耳を残すことができると言えそうです。
将来、英語を身に付けさせてあげたいと考えられている親御さんにとっては、有益な情報だと思います。
言語処理は目に見えるものではありませんが、0歳から気持ち程度英語を生活に取り入れていくことは効果がありそうだと考察できます。
▽もっと知りたい方▽
言葉の習得以外にも参考になる本です
過度な英語のかけ流しは危険
赤ちゃんの英語教育は冷静な判断に基づいた取り組みが必要です。
幼児英語教育の広告などを見ていると
- 大量のかけ流し
- 聞けば聞くほど効果がある
などのうたい文句が並んでいるのを見かけることがあるのではないでしょうか。
この様な言葉を見て「子供が英語を聞ける耳を残してあげなくては」と躍起になる必要はありません。
英語ばかりを聞かせた結果、日本語を耳にする量が減れば、日本語の習得が遅れることを意味するからです。
▷ 母語習得への影響を知りたい方は、こちら
子供が「耳にする言葉の量」は習得の度合いに比例するため、英語を多く聞かせる程、早く英語を話せるようになります。
これは、英語だけでなく、中国語でも、アラビア語でも同じです。
一方、そもそも乳幼児の子どもが起きている時間はそこまで長くなく、限られた時間です。
子供は耳にする言葉を習得するため、親が意識をして日本語と英語のバランス調整する必要があると言えそうです。
行き過ぎた英語教育にはリスクもあります。しっかり把握してくださいね。
日本語(母語)習得の完成は15歳
母語である日本語習得に必要な年数を考えたことはあるでしょうか。
小学生くらいになれば日常生活に必要な言葉はおおよそ話せるようになりますが、日本語の母語の完成には約15年かかることが分かっています。
母語習得ですら、想像以上に長い時間が必要なのです。
母語習得の過程 | |
妊娠6ヵ月頃 | 聴覚が発達し始め、外の音やお母さんの声を聞くことができるようになる |
1歳 | 0歳でたくさんの言葉を話しかけられることにより意味のある単語を話すようになる |
2~4歳 | 爆発的に単語数が増え、文章が話せるようになる |
5歳 | 母語の基礎が完成する |
6~7歳 | 聞いた言葉と文字を結び付けられるようになる |
10歳 | 母語を使って抽象的な思考ができるようになる |
~15歳 | 敬語や難しい語彙、表現などを学んでいく |
英語の母語完成は12年と言われています。日本語の方が複雑な言語体系のようです。
一般的に日本に住んでいれば、自然と日本語を使えるようになると考えがちですが、そのようなことはありません。
小学校に通ってお友達や先生と話したり、授業を受けたりすることも、日本語習得の大きな力となっており言葉の発達には欠かせない学びです。
1級は満点とらなくても合格できるので合格するにはネイティブ小学生高学年程度だと思います pic.twitter.com/rsLgEYVYG8
— Cherry🍒| FFXIV noob 🌱 (@cherryandfarras) January 11, 2024
英語に置き換えて考えてみましょう。
例えば、英検1級を取得できれば多くの人がすごいと感心すると思いますし、英語が堪能なのだろうと考えると思いますが、英検1級はネイティブ話者の年齢に換算すると小学校高学年くらいのレベルなのです。
小学校高学年になれば確かに多くのことを理解できますが、言語発達の側面だけを考えてもまだままだこれからだと感じるはずです。
英検1級でも、その程度ということです。
人が言葉を自由に操れるようになっていくには長い期間が必要だと言うことは、親として知っておきたい知識の1つです。
赤ちゃんのおうち英語|効果的な英語かけ流し方法
映像のない「かけ流し」で聞いた音声は、その意味を知る手がかりと出会うことで初めて言葉となります。
つまり、英語をきかせるなら音だけではダメで「意味とセット」が基本なのです。
dogという音声を聞いたことが100回あり、子供自身がdogと発話することができたとしても、dogが「何か」を知る機会がなければ言葉としての機能は成しません。
意味理解させる方法として利用できるのが、良質な絵本やDVD教材です。
ここからは、
- 日本語習得とのバランスを取りながら
- どのように英語を生活に取り入れていくのか
について、具体的に書いていきたいと思います!
※ 生まれたばかり赤ちゃんや幼い子供に映像を見せるかどうかは、賛否がわかれるところです。我が家は0歳のときにはほぼ映像は見せず、1歳から時間を制限して利用しました。
0歳|ほわほわ赤ちゃんにはどう英語をかけ流す?
これは個人的な考えですが、私は0歳の赤ちゃんに大量のかけ流しは必要ないと考えています。
そもそも起きている時間が短い0歳の赤ちゃんですので、目を覚ましている時間を使って親御さんが日本語でしっかり話しかけなければ母語習得が進みません。
母語習得が課題となる0歳の赤ちゃんにおすすめの方法は、英語絵本と歌を使っておうち英語を進めることです。
息子には3か月頃から、1日2曲歌を聞かせていました。
絵本を使っておうち英語をはじめるなら【Baby English Labo】CD付きの英語絵本と歌のセットがおすすめです。
月額4400円・6か月間の定期購読で、音源はスマホで再生できたりと、おうち英語を継続する壁を低くしてくれます。
私が特に良いと思うのは、教材の使い方について解説しているガイドブックが毎月届くので、英語絵本の使い方を身に付けることができるところです。
毎月絵本が届く6か月間を利用して、親御さんが読み聞かせの方法を学び・取り組みを習慣づけする期間として適しています。
読み聞かせのやり方は分からないけれど、英語絵本と歌からおうち英語を始めてみたいという方にぴったりのセットだと思います。
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絵本の読み聞かせを習慣化できたら絵本の冊数を増やし、引き続き継続していくことをおすすめします。
数限りなくある絵本ですが、誰もが知っている有名な絵本から完読していくのが良いのではないでしょうか。
世界的に知られている英語絵本を使って読み聞かせを継続したい場合には、Liaoリストの絵本セットをおすすめします。
このリストは1年で130冊の絵本を読むことを目的に、絵本で使われている英語の難易度を考えながら作られています。
※ お子さんが幼い頃には読み聞かせ用に、その後は子供自身が読む絵本として利用できます。
ネイティブの音声が流れるタッチペンは1本あると便利です。
最初は親御さんが使うことになると思いますが、すぐに子供が使い方を覚え活用できるようになるでしょう。
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我が家もmaiaya penありますよ!
1-2歳|よちよち赤ちゃんにはどう英語をかけ流す?
1歳から2歳に英語をかけ流す目的は、数年後に英語も話せるようになるためにインプットを蓄積していくことです。
目に見える成果は期待せず、その時間を親が楽しむことが継続のポイントだと思います。
子供の言葉の習得には個人差がどうしてもありますので、子供さんの様子をよく見ながら英語と日本語のバランスを判断していきます。
※ 日本語の発話が進まない場合には、日本語のインプット(たくさん話しかける・絵本を読み聞かせるなど)を多くすることを心がけます。
私は息子の赤ちゃん時期、【日本語9割、英語1割】を常に意識して、言葉のインプットを考えていました。
日本語を話し始めた1歳から2歳の赤ちゃんには、親御さんの判断にはなりますが、少し映像を使った英語のかけ流しを始めても良いと思います。
WHOでは2才までの映像は推奨されていませんので、目安は1日30分から1時間が良さそうだと考えています。
我が家の映像時間は1才30分・2才1時間にしていました。
映像を見せたいならディズニー英語システムのDVD教材!
英語インプットを増やしたい場合には、質の高い英語DVD教材が効果的です。
3歳くらいまでの子供さんの英語インプット教材は、YouTube動画などではなく、やはり言葉の質が高いものが望ましいです。
英語学習用に作られた教材は言葉の質が高いので安心できます。
私のお勧めは、質の高さが担保されているディズニー英語システムです。
ただ正規購入すると、値段が高いのが難点です。
乳幼児期のかけ流しのみに使用するのであれば、メルカリなどで購入できる中古のDWE教材で十分だと思います。
映像は言葉とその意味がつながりやすいような映像になっているので、シンプルで大人が見ると決して面白いものではありません。
正規購入も悪くないのですが、3歳以降の興味がはっきりするころに、面白いと思わなくなる可能性を考えるとリスクが高いかと思います。
※ YouTube動画などを既に見せている場合は見たがらない可能性もあるかと思います。
▷ 中古で揃えたい場合は、こちら
2-3歳|子供にはどう英語をかけ流す?
2-3歳になると個人差はありますが、単語を言ったり、英語を文章で話し始めたりするお子さんも出てくると思います。
それに一喜一憂することなく、コツコツと毎日かけ流しを続けることが重要です!
親がかけ流す教材に「イヤ」ということは少ない時期だと思いますが、子供が楽しいと思える環境の中に英語を取り入れていけると良いですね。
※ 嫌がったら無理に子供に見せようとせず、お母さんが見たいからとDVDをかけておきます。子供はよそ事をしていても、気になる場面があったらチラッと見ているはずです。
おうち英語の醍醐味は毎日の積み重ねで量を確保できることです。
毎日1時間を積み重ねていくことで、子供は言葉を自然に身に付けることができます。
問題は親が飽きることです。
飽きてしまったら、内容は何でも良いので、とにかく継続することを意識してみてください。止めないことが大切です。
3-5歳|入園後は英語かけ流しは効果的?
集団行動ができるようになる年齢が、幼稚園が始まる3歳です。
同じ園児でも、3歳・4歳・5歳とその成長は著しいものがありますが、共通しているのが自我が芽生えてくる時期ということです。
各々の興味をもとに好き・嫌いが出てくる時期と言えそうです。
イヤイヤ期とはまた違って、興味がないから面白くない「イヤ」という感じです。
この時期の子供に親ができることは、自分の子供をよく観察して「子供が好きそうな英語教材」を探すことです。
子供の意思を無いことにすると、
- 英語が嫌いになる
- 英語を拒否する
ことにつながりますので、無理は禁物です。
この時期に入ったら、子供が興味のないものをかけ流すのではなく、子供が見たいと思える英語教材を見つけるのが正解です。
工作が好きな子どもであれば、工作をしているところを英語で解説している動画を見せてもよいと思います。
料理、お絵描き、宇宙、動物、ゲームなど、YouTube動画は無料で公開されていますし、英語教材はあふれるほどあります。
子供が好きそうな教材を積極的に探しましょう!
おうち英語の注意点|赤ちゃんでもかけ流しで英語嫌いになる
親が避けたい3つのタブー
- 反応を求めない
- リピートさせない
- 日本語を入れない
おうち英語に取り組んでいて、子供が英語を嫌がるようになってしまったという話を耳にすることがあります。
基本的に無理をさせないということが鉄則ですが、特に英語のかけ流しにおいて、親が注意したい点を3つにまとめました。
子供に反応を求めない
1つ目は反応を求めないことです。
子供が英語を喜んで聞いてくれることは理想的ではありますが、そんなことは稀だと思った方が良いのかもしれません。
あくまで英語の歌をBGMとしてかけ流したり、英語絵本を読んだりすることで、音声から単語を切り出す能力を身に付けることができます。
つまり、英語が雑音ではなく、意味のある言葉の塊として認識できるということです。
特に0~3歳くらいまでは、生活に溶け込んでいるくらいの存在で良いと思います。
2~3歳くらいだったと思いますが、聞かせたいなと思うDVDをよくかけ流していたら、「お母さん、これ好きだね」と言われた記憶があります。
なんかよく流れてるなくらいの存在でも、子供はきちんと聞いていたりします。
無理に英語を話させない
2つ目は英語を無理に口にさせないことです。
学習効果を求めるあまり、子供にリピートさせようとする親御さんが見られますが、これもよくありません。
英語のインプットが目的ということを忘れず、無理にアウトプットさせることは避けましょう。
子供が自然と聞いた内容を口にする分には構いません。
また、発音を直させたり、分かっているか尋ねたりするのもタブーです。
「ほら!言ってみて!」とか言わないようにしましょう。
日本語を英語理解に介入させない
3つ目は日本語を入れないことです。
外国語学習は、その言語のまま理解をすることが鉄則です。
これを専門用語で直接法と言います。
日本語を入れて理解することは、ご法度だということを忘れないことです。
日本語を介して英語を理解する間接法による学校教育に慣れている大人の感覚だと、どうしても「strawberry は いちご よ」と日本語を添えたくなってしまうかもしれません。
意味を聞かれたとしても訳さない、説明しないように心がけてください。
いかがでしたでしょうか。
最後までお読みいただきありがとうございました!