「英語を早くから始めると、日本語の発達が遅れるのでは?」と不安に思う保護者は多いものです。早くから複数の言語に触れること自体が、母語の発達に悪影響を及ぼすという心配の声ですね。
結論から言えば、適切に英語を取り入れれば、日本語の発達が妨げられることはありません。それだけでなく、多言語を扱うことが脳の働きに良い影響を与えると報告する研究もあります。
この記事では、早期英語教育による日本語発達への影響について、答えてきたいと思います。
言葉の習得過程を理解する
英語を取り入れること自体が、日本語の発達を妨げることはありません。母語である日本語は、家庭や学校など生活の中心で使われる言葉です。毎日のやり取りの中で自然と身につき、母語としてしっかり育っていきます。
ただし、生活の中から日本語を排除してしまうような極端な環境では、年齢相応の日本語が育たないこともあります。また、英語を取り入れなくても、日本語を耳にする時間が少なかったり、十分に話しかけられていなかったりすると、同じように発達が遅れることがあります。
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多言語を習得することはプラスの刺激
英語を取り入れることは、日本語を奪うものではなく「プラスの刺激」として働きます。二つの言語を行き来する体験を通して、子どもには柔軟な思考力や多角的な視点が育まれるとする研究もあります。
ただし、日本語の基礎はおよそ5歳ごろまでに形づくられ、完成は15歳ごろだといわれています。特に未就学児や小学校低学年の時期には、日本語をしっかり育てながら、バランスよく英語を取り入れていくことが大切です。
日本語と英語のバランスの取り方
日本語と英語のバランスの取り方に正解はありません。しかし、子どもが日本で教育を受けることを前提とするなら、家庭での「日本語のやり取り」は大切にするのが安心だと感じます。
例えば、日本語でたっぷり話しかける、絵本を読み聞かせるなど、乳幼児期だからこそできることはたくさんあります。小学校以降も、学校での出来事を日本語で共有するなど、母語で会話をしっかりすることでコミュニケーション能力も育まれます。読み書きの訓練も、言葉を豊かに育てる上で重要です。
その上で、英語は歌やアニメ、オンライン英会話など「楽しい時間」として加えていけば、両方が自然に伸びていくのではないでしょうか。
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英語を始めるときの注意点
英語を早く始めるときに気をつけたいのは「やり過ぎる」ことです。特に、子どもが母語もまだ話さない0歳児のときに、極端に英語ばかりの環境に身を置くと、年齢相応に日本語が習得されないという話はよく耳にします。
例えば、もともと日本語での会話が少ない家庭環境で、英語ばかりを流していると、日本語の表現力が十分に育たないということも起こり得ます。「母語は自然に身につくから大丈夫」と考えすぎるのは危険です。母語である日本語も英語も、日常的な関わりがあってこそ伸びていくものだと理解しておきましょう。
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まとめ:母語を大切に育てれば安心
英語を取り入れることで、日本語の発達が妨げられることはありません。逆に、母語である日本語があるからこそ、英語が身につきやすくなるのです。言葉を習得する力の基盤は母語にあり、日本語の語彙や表現が豊かになるほど、外国語の学習もスムーズに進んでいきます。
大切なのは、母語をしっかり大切にしながら「英語をプラスする」という意識です。日本語と英語の両方を育てる視点を持つことで、安心して長く取り組むことができるのではないでしょうか。