小学生の英語先取りをしたほうがよいのか、迷っている保護者の方は多いのではないでしょうか。
私は基本的に、小学生のうちから英語に取り組むこと自体には賛成です。
ただし、先取りの方法を間違えると「英語が得意になる」どころか、かえって苦手意識につながることもあります。
大学英語講師はむ先生英語講師の「はむ先生(村上里実)」です。教歴は15年、大学で非常勤講師を務め、第二言語習得を専門としています。
英語の先取りの難しさは、英語は知識だけではなく「ことば」という点にあります。
ことばを身につけるときには、ある程度の順序があります。
小学生の英語先取りでは、その順序を意識することがとても大切です。
この記事では、
小学生の英語先取りをするときに意識したい「4技能」の考え方とそのやり方
について解説します。
小学生以降を見据えた「英語先取り」はおすすめ

私は、小学生のうちから英語に触れておくこと自体に賛成です。
ただしそれは、テストでよい点を取るための先取りではありません。
目的は、中学校以降の英語学習を楽にするための土台づくりです。
英語は短期間で身につくものではなく、ある程度の時間と経験を重ねながら少しずつ力が伸びていく教科です。
そのため、小学生のうちから英語に触れておくことは、中学校以降の学習をスムーズにする意味があります。
英語学習の総量は増えている
現在、日本の英語教育は以前よりも早くスタートしています。
小学校では、3年生から外国語活動が始まり、5・6年生では教科として英語を学びます。
さらに中学校では、以前よりも多くの語彙や文法が扱われるようになりました。

つまり、子どもたちが学校で学ぶ「英語の総量」は確実に増えているのです。
英語に慣れている子どもにとってはそれほど大きな問題ではありませんが、英語に触れる経験が少ない子どもにとっては、急に難しく感じることもあります。
小学校の授業時間が大きく増えたわけではありません。そのため、英語に使える時間は限られています。
現在、小学校3・4年生では週1回、小学校5・6年生では週2回です。
この程度の取り組みでは、十分に英語が身に付けられないことは、保護者の方も想像できるでしょう。
準備が不十分なため、中学校に入ってから英語に苦手意識を持ってしまう子どもも少なくないのです。
小学生のうちは問題が表面化しにくい訳

小学校の英語は、基本的に「英語に慣れること」を目的としています。
具体的には、歌やゲーム、簡単な会話活動などを通して、英語を聞く・話すことを中心に、楽しく英語に触れる授業が多く行われています。
そのため、多少理解があいまいでも、授業についていけているように感じることもあります。
現役英語講師はむ先生カラーテストもごく簡単なもので、難しいものではありません。
しかし、中学校に入ると英語は一気に「教科」として扱われるようになります。
- 文法の理解
- 長い文章の読解
- 英作文
など、求められる力が大きく変わります。
また、小学校では読み書きは求められませんが、小学校で習った単語・文章は読めて書けることを前提として、中学校の英語学習はスタートするのです。
小学生のうちに英語の音や単語がしっかりと身に付いていない場合、ここで急に難しく感じることもあるでしょう。
中学校で困らないための先取りをしよう

小学生の英語先取りというと、「中学英語を先に勉強すること」をイメージする方もいるかもしれません。
しかし本当に大切なのは、小学校で扱う内容をより深く身に付け「英語という言葉」に慣れておくことです。
例えば、小学校の教科書の内容なら
- 英語を聞いて意味が分かる
- 知っている単語が読める
- 簡単なことを英語で言える
- 単語を書くことができる
このような経験があると、中学校の英語学習はとても楽になります。
つまり、小学生の英語先取りは「内容を先に進めること」ではなく、ことばの土台を育てることだと考えるとよいでしょう。
小学生の英語先取りは4技能を意識する

英語には、次の4つの技能があります。
リスニング(聞く)
リーディング(読む)
スピーキング(話す)
ライティング(書く)
小学生の英語先取りでは、この4技能を学ぶ順序を意識しながら育てていくことがとても大切です。
ここでは、自宅でも取り組みやすい方法を中心に紹介していきます。
また、英語教室で英語を学びたい場合には、4技能をバランスよく学べる教室を選ぶことも1つの方法です。
まずは聞いて分かること「リスニング」

英語学習の出発点は、聞いて分かることです。
英語の音に慣れていない状態で単語を覚えようとしても、記号を暗記しているようなものでなかなか定着しません。
まずは英語を聞いて、
「知っている単語が聞こえる」
「何となく意味が分かる」
このような経験を積み重ねていくことが大切です。
たとえば、小学校で習う英単語700語がまとめられた、ちびむすドリルの英語ポスターなどを使うとよいでしょう。
音声を聞きながら単語を覚えていくのが効率が良いため、YouTubeチャンネル「はむ先生のおうち英語」では、ポスターに音声を付け、自宅でも練習できる動画を用意しました。
食べ物や動物など、子どもに馴染みのある単語から初めていくとハードルが下がります。
リスニングの土台ができてくると、英語は少しずつ理解できる言葉になっていきます。
まずは、音と意味を結びつけていきましょう。
次に知っていることばを読めること「リーディング」

次に育てたいのが、読む力です。
とはいえ、文章をいきなり読めるように練習するのではなく、まずは単語や決まったフレーズを読む練習です。
聞いたことのある単語が文字でも読めるようになると、英語の理解は一気に広がります。
例えば、
- cat
- dog
- apple
このような単語(文字)を見たときに、音と意味が自然に思い浮かぶ状態を指します。

先ほどの、ちびむすドリルの英語ポスターの単語を、動画なしでも発音できれば完璧です。
読むことができるようになると、英語のインプット量を増やすことができます。
英語の教科書だけでなく、絵本や簡単な文章を読むことで、さらに語彙や表現が増えていきます。
同時に、知っていることばを使ってみる「スピーキング」

聞いて理解できる言葉が増えてくると、少しずつ話す力も育ってきます。
英語を話すことに関しては、小学校の授業内でコミュニケーション活動を行います。
- I like apples.
- I have a dog.
- This is my book.
といった、簡単な会話から実際に声に出して言ってみるということを練習します。
英語を聞いて意味が分かり、簡単な文字であれば読める状態になったら、話す練習は回数を重ねればできるようになります。
筋トレと同じなので、毎日続ければ必ずできるようになるものです。
自宅で英語を話す練習をしたい場合には、マンツーマンのオンライン英会話がよいでしょう。
知っている単語を使って伝える経験を重ねることで、英語は「使える言葉」になっていきます。
英語は実際に使う経験が増えるほど、自然に身についていくものです。
最後に書けるようにする「ライティング」

書くことは、取り組みやすいように思われがちですが、4技能の中でももっとも負担が大きい活動です。
- 単語を覚え
- スペルを思い出し
- 文の形を考える
こうしたことを同時に行う必要があるからです。
そのため、小学生の英語先取りでは、書くことを急ぎすぎないことも大切です。
一方で、中学生になると当然のように求められるようになる技能でもあります。

ちびむすドリルの英単語の練習プリントを使って書き慣れると良いでしょう。
聞く・読む・話すの経験を十分に積んだあとで書く活動を始めると、子どもの負担も少なくなるのでおすすめです。
小学生の英語先取りをはき違えない|よくある3つの勘違い
小学生の英語先取りは、取り組み方によって結果が大きく変わります。
早く始めればよいというものではなく、先に進めば良いというものでもありません。
先取りの内容や方法を間違えると英語が苦手になってしまうこともあります。
特に小学生のうちは、まだ学習習慣も発達の途中です。
無理な取り組みを続けると、英語そのものに対してネガティブな印象を持ってしまうこともあるでしょう。
順番を間違えると暗記ゲームになる

小学生の英語先取りでよく見られるのが、いきなり「書いて覚える学習」から始めてしまうケースです。
例えば、
- 単語を書いて覚える
- 英語のスペルを何度も練習する
- 文法ルールを覚える
こうした学習方法です。
もちろん、これらは英語学習の中で必要になる場面もあります。
しかし、ことばとしての理解がない状態で行うと、英語は単なる暗記ゲームになってしまいます。
音も意味もよく分からない単語を、文字だけで覚えようとしても、子どもにとってはとても負担が大きいものです。
その結果、
「英語は難しい」
「英語は覚えることが多くて大変」
という印象を持ってしまうこともあります。
本来、英語はコミュニケーションのための言葉です。
意味やイメージと結びついた形で学ぶことで、初めて「使える言葉」として身についていきます。
ことばの習得には順序がある

第二言語習得の研究では、言語にはある程度の習得の順序があることが知られています。
一般的には、
聞く
↓
読む
↓
話す
↓
書く
という流れで力が育っていきます。
まず英語を聞いて意味が分かる経験が増えると、次に文字を見たときに一致できるようになります。
そして、理解できる言葉が増えてくると、少しずつ自分でも使えるようになっていきます。
この順序を無視してしまうと、子どもにとってはとても難しい学習になってしまいます。
現役英語講師はむ先生母語も外国語も基本的には変わりません
例えば、
- まだ聞いて理解できない単語を書こうとする
- 読めない単語を覚えようとする
こうした状態では、英語は負担の大きい学習になってしまいます。
小学生の英語先取りでは、「先に進めること」よりも、自然な順序で経験を積み重ねていくことがとても大切です。
負担の少ない方法を選ぶことが継続につながる

英語は短期間で身につくものではなく、継続が必要です。
基本的な英語力を身に付けるには2200時間以上の取り組みが必要といわれており、どのような学習方法を取り入れても、基本的に短縮できるものではありません。
1日1時間、休みなしで取り組んだとしても、5年半かかる長い時間です。
そのため、小学生の英語先取りでは続けられる方法を選ぶことがとても重要になります。
例えば、
- 英語の動画を楽しみながら聞く
- 簡単な英語の本を読む
- 知っている言葉を使って話してみる
こうした活動は、子どもにとって比較的負担が少なく、自然に英語に触れることができます。
逆に、毎日長い時間の書き取り練習や暗記学習を続けることは、小学生にとって大きな負担になることもあります。
もちろん、年齢が上がれば書く学習も必要になります。
しかし、小学生の段階では、まず英語を「分かる言葉」として経験することが大切です。
- 聞いて分かる
- 読んで分かる
- 少し言ってみる
こうした経験を積み重ねていくことで、英語は少しずつ「使えることば」になっていきます。
小学生の英語先取りは、英語をことばとして身に付けていくことを目的にすると、中学生の学習へとスムーズに移行することができるでしょう。

