私の義妹は「公文英語は意味ない」と感じている親の1人です。
姪っ子に小学校1年生から3年間、公文英語をやらせてみたけれどお金の無駄だったと話をしてくれたことがありました。
はじめまして!
英語講師の「はむ先生」と申します。教歴は15年ほど。
現在、大学の非常勤講師として働いています。
長い目で見ればそんなことはないのでは?というのが私の考えるところですが、公文英語に適した時期(年齢)はあると思っています。
2023年3月末から半年ほど、私自身も公文英語に取り組み、直接子ども達の様子を見ることができました。
この記事では、
公文英語で期待できる効果
教材の効果的な活用法
について書いていきたいと思います。
公文の英語は意味ないのか?効果はどこに?
公文式は世界中で利用されている教材です。
世界中で受け入れられ利用されているにもかかわらず、本当に効果がないものなのでしょうか。
一方、英語教材に関しては和訳が付いている点で海外とは仕様が異なると言われています。
また日本に住んでいると英語を話す機会がないという点も、海外での生活環境とは違います。
まずは、日本で使われている公文英語教材で高められる英語力について具体的に見ていきたいと思います。
海外教材は世界共通で、全て英語(翻訳なし)であることが特徴です。
公文英語で高められる英語力は?
公文の先生にも実際に伺いましたが、
- 公文の初級レベルの教材は語彙力を高めること
が主な目的です。
話すにも、読むにも、書くにも、言葉を知らなければ何もできません。
ですので、語彙数を増やすというのは大切だと言えます。
公式HPにも記載されていますが、公文で英会話力を身に付けることは期待できません。
初級以降は文法理解と読解力の向上を目指すことができる教材構成となっています。
詳しくは後述しますが、小学校低学年までは英会話スクールから始める方が「子供の言語能力」が発揮できると私は考えています。
その理由は
- 子供は自然に言葉を身に付けられる能力をもつ
- 年齢が上がると日本語にない音(外国語)を聞き取る能力が落ちる
- 子供の英語習得に日本語訳は必要ない
という点です。
子どもには母語を身に付けるために生まれつき備わっている言語能力があります。
この能力は母語に限ったものではないため、英語が使われている環境に身を置けば英語を身に付けてしまうのです。
現在、インターネット環境が充実しているので、自宅で英会話レッスンを受けたり、英語に触れられる環境を整えたりすることができる様になりました。
公文のプリント学習を始めとする机の上の勉強は、幼児期から小学校低学年のお子さんが得意とする活動ではありません。
知識や理解度が高まる小学校高学年以降の方が、意識的に知識を学ぶ「勉強」は得意となります。
一方、言葉が全く分からない環境に飛び込むことに躊躇するタイプのお子さんは、公文からスタートすることも良いでしょう。
公文式で語彙力を高めてから英会話に移行することは、英語を話すことへのハードルを低くする方法の1つです。
子供の性格に合わせて選ぶことは大切です。
公文英語の最大の効果は学習習慣が身に付くこと
個人的な意見になりますが、公文式最大の効果は学習習慣が身に付くという点だと考えます。
言い換えると、毎日宿題プリントに取り組むことで、英語をに触れる時間(量)を確保することができるのです。
公文英語は専用のタッチペンを使って、ネイティブの音声を聞きながら英語を口に出す練習をします。
英会話スクールに通ったとしても、英語力を身に付けたいと思うなら日々の取り組みは絶対に必要です。
日々積み重ねた力は強いですね!
英語を身に付けるには、やり方も大切ですが、絶対的に量も必要なのです。
日本語を母語とする人が英語の基礎力を付けるためには、どんなに優秀な人でも2,500時間程度はかかると言われています。
これはなかなか長い時間で、1日1時間取り組んで約7年くらいの計算になります。
※ 日本語を母語とする人が英語を身に付けるには、少なくとも2500時間から4000時間ほどかかると言われています。高いレベルの英語力を身に付けるには更に英語に触れることが必要です。
長く必要な学習時間を、宿題をこなすことでで少しずつでも積み重ねられるのはメリットであると、私は考えます。
幼児や小学生の場合は、日々の学習習慣が身に付いていない場合もありますね。
そういう場合には、公文教室を半年くらい続け、学習習慣を身に付けた後に英会話スクールに移行する(毎日の取り組みは続ける)というのも賢い利用法の1つだと思います。
英会話スクールを利用しても、英語力を高めるための日々の英語の取り組みは欠かせないからです。
(英語をめぐって子供と喧嘩になるくらいなら)先生の力を借りた方が良い場合もあると思います。
我が家は親に指摘されるのがイヤみたいなので、なるべく黙っている様にしています。
公文英語が意味ないと感じてしまう理由は?
私の義妹のように、公文英語を利用することに意味を感じないケースは多いように思います。
先日、息子のお友達も「半年ほど公文英語を続けたけれどやめようと思っている」という話を聞きました。
言葉を身に付ける長い道のりからすると、どこで英語を学んでも最初の半年で得られるものは少ないのですが、費用対効果が感じられなかったのでしょう。
気持ちはよく分かります。
公文英語の成果は感じにくい
公式HPにも記載がありますが、公文英語教材は話せるようになることを目的に作られたものではありません。
ここは、大事なポイントです。
多くの親御さんは英語を使える(話せる)ようになってもらいたいと考えていると思いますが、それを目的には作られていないのです。
数年続けたところで、話せるようにもならず、学んだと思われる内容は頭の中に蓄積されているだけです。
決して意味がない訳ではないのですが、目に見える変化が感じにくいと言えます。
これは公文式に限ったことではなく、子供の外国語学習は成果が感じられにくいという特徴があります。
その理由は、
- 言葉は身に付くまでに長く時間がかかる
- 子供はそもそも大人の様に知能が高くない
という2点に尽きます。
大人は自分の意思で学ぼうとすることができますが、幼い子供は無理ですね。
子供本人の興味があることには能力を発揮することもありますが、そうでない場合には長期的に見守る姿勢も大切です。
おおよそ2000時間を達成すると話せるようになってきます!
公文の教室で何かを教えてもらえるわけではない
姪っ子が小学校1年生から3年生まで公文で英語をやり、中学1年生レベルまで進んだけれど意味がなかったというエピソード。
義妹は「そもそも単語の意味が分かっていないから意味がない」と言っていました。
公文式は誰が教えてくれるわけでもなく、自分でプリントを進めていく方式です。
先生はあえて教えないことを徹底されているようです。
英語の場合、タッチペンで読んでくれますし、どんどん先に進むことができます。
公文では、次のレベルの教材へ進むかどうかの確認テストがありますが、日々の学習の中で覚えたかどうかを確認する訳ではありません。
言い換えると、機械的にプリントをこなしているだけの場合、内容を何も理解していない可能性もあり得るということです。
こうなってしまうと、本当に意味がなくなってしまうので、気を付けた方が良いですね。
毎回理解度を確認する必要はありませんが、たまには子供が分かっているのかを親が見守ることは必要なのかもしれません。
公文式は誰かに何かを教えてもらうのではなく、自ら学ぶことを前提としている教材だと言えます。
意味ない公文英語で終わらせない為に|効果を出す!
最後に、効果的な公文英語の利用の仕方を考えてみたいと思います。
公文は1教科おおよそ月7000円強ほどかかり、決して安いとは言えない習い事です。
年齢が上がるほど量がこなせるためか、月謝も上がります。
公文英語をやらせても意味がなかったと終わらせない為には、どのように対応すればよいのでしょうか。
せっかくなので良いとこどりをしましょう!
幼児期から小学校低学年は時期をみて英会話スクールへ移行
先に、公文英語の教材は
- 語彙数の強化
- 文法理解
- 読解力
を高めることを目的にしていることをお伝えしましました。
私のおすすめは、基本的な語彙学習が済んだらに英会話スクールへ移行することです。
幼児の場合にはC教材まで、小学校低学年はF教材が終わったタイミングが良いと思います。
G教材になると単数・複数などの文法用語での解説が出てきます。
英語のルールを知ることは大切ですが、質の良い英会話を利用することで「文法用語」を使って説明されなくても使い分けできるようになります。
私たちが説明されずとも日本語の「てにをは」を使い分けられるように、Be動詞はこれで、それ以外が一般動詞で…という解説は必要ないと言うことです。
文法用語は大人ための学習ツールだからです。
うまく英語学習カリキュラムが組んであり、教え上手な先生に出会うことができれば、文法の説明をしなくても子供はルールを体得できます。
小学校高学年を目安に公文を積極的に利用
小学校高学年になれば、公文英語は積極的に利用しても良いと思います。
公文は幼いときの習い事というイメージがありますが、公文英語に関しては思考力が高まる高学年からが向いています。
小学校5・6年生であれば公文英語も良いと思います。
今の小学校英語は実質中学校英語の前倒しです。
小学校の英語教科書に出てくる内容は理解したものとして中学校では英語学習が進みますので、文法学習も決して早すぎることはありません。
4月から公立中学校に通うお子さんには、英語だけで良いので中1の頭から塾に通うことをお勧めします。新しい指導要領に基づいた教科書になり、全国の塾の先生から「英語がヤバイ」という悲鳴が溢れています。小学英語を前提とした今の教科書は中1の最初が肝心。「まだ大丈夫」が手遅れになります。
— 新野 元基 (@newfield114) March 6, 2023
小学校の英語授業はまだ始まったばかりで、うまく機能している訳ではありません。
しかし、中学校では2年間の英語学習を前提とするので、実質、以前よりもペースが速まりました。
小学校の英語教科書にある内容は、中学校入学前にしっかりと理解しておく必要があります。
公文英語を本格的にスタートするのであれば高学年からが向いています。
子供の学ぶ意思を確認する
最後に、お子さんの英語を学ぶ意志についてです。
子育てをしている以上、習い事の選択には少なからず親の方針や想いが込められているのが常だと思います。
しかし、親の一方的な想いだけではなく、子供の意志を少なくとも確認することは大切だと感じます。
公文やってて意味があるのかな。常に伴走だし、その間下の子放置だし、二教科一時間はかかるし、共働きで帰宅後のわずかな時間は公文・風呂・ご飯で終わる。子供の話もあまり聞けてないし、遊びの中で学ぶみたいなことが全くできてない。ただただ公文させて親子関係悪くなってるだけ。
— いくら (@ikura_guratan) March 14, 2023
これが現実ですよね。
特に子供が幼い場合、親と子供の意思が必ずしも一致している訳ではありません。
個人的には、子供本人の意思がそこになれけば期待するような伸びは見られない可能性が高いかと思います。
逆に、本人の意思さえあれば、多少スタートが遅れても後から追いつくと言えるでしょう。
親の立場からすると動かなければ現状維持のままなので、難しいところですね。
子供にやる気を感じられない場合には、一度、親御さんの考えを伝え、お子さんの意見を聞いてみると良いかもしれません。
強制することなく妥協点を探ることが、長期的に見れば、最も良い結果を得られるように思います。
参考にしていただければ幸いです!