おうち英語は意味がないというのは、どのような点について語られているのでしょうか。
本当に積み重ねてきた英語の時間には意味がないのでしょうか。
はじめまして!
英語講師の「はむ先生」と申します。
教歴は15年ほど。現在、大学の非常勤講師として働いています。
一例ではありますが、我が家の息子はおうち英語歴5年です。
この5年間、何らかの形で蓄積した英語時間に意味がないというのはおかしな話だと感じます。
現地点での息子は年齢相応よりは少し劣るかなと思いますが、英語を理解することができ、話したり、読んだりすることができます。
この記事では、
- おうち英語が意味がないと言われやすい理由とその価値
について書いていきたいと思います。
私はおうち英語には意味があり、それは形として残るものだと思っています。
参考にしていただければ幸いです!
おうち英語は意味ないといわれる所以とは?
おうち英語に意味がないと言われやすいのは、
- 成果がすぐには出ないこと
- そもそも乳幼児期に出来ることが少ないこと
- 母語の発達と共に英語も上達すること
の3点が主な理由となっている様に思います。
つまり、年齢相応に英語ができだとしても結局レベルが低いということでしょう。
おうち英語の取り組みは意味がないという結論づけることは、「大人になってから勉強しても追いつくことができる程度の英語力しか身に付かない」という言うこともできます。
果たして幼い子供が英語に時間を費やすことに、本当に意味はないのでしょうか。
皆さんはどうお考えになりますか?
成果がすぐに出ないこと
おうち英語を始める年齢は、各家庭によって異なります。
早いと0歳から、多いのは2歳頃のスタートという感覚があります。
もちろん、小学生からおうち英語を始められる方もいます。
※ ここでは「おうち英語」を、「さまざまな教材や学習サービスを用いて、親が主導権を握り進める、英語習得のための取り組み」と定義したいと思います。
いくつからおうち英語を始めても、なかなか成果が見えないというのが共通している親御さんの反応です。
おうち英語は日常において英語に触れる時間を作ることが基本にあると思いますが、各家庭によってその時間(量)は異なります。
気が向いた時、毎日1時間、毎日3時間、プリスクールなどの英語を使う幼稚園を利用して平日5時間など、各家庭によってその差は大きいでしょう。
しかし、上のどれをとっても、1年を待たずして英語を話し出すということはないでしょう。
平日1日5時間×5日間を12か月続けても、日本語の様に言葉を自由に操れるようにはならないのです。
言葉はそんなに簡単に身に付くものではありません。
大人のように意識的に勉強できない子供の言語習得には、想像以上に長い時間が必要だということを、おうち英語を始める前に知っておく必要があります。
習得に必要な時間については、後述します。
そもそも乳幼児はできることが少ない
「子供は言葉を学ぶ天才」というような類の言葉を1度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
これは半分正解で、半分不正解と言えます。
正しくは、子供は「無意識に」言葉を身に付ける天才だということです。
乳幼児は意識的に言葉を身に付けようとすることなく言葉を身に付けてしまうという点において、大人より優れていると言えるでしょう。
子供本人が気が付いた時には、既に言葉が身に付いているのです。
しかし逆に言えば、上達することを意識してお勉強しない(できない)ということでもあります。
乳幼児期から始めるおうち英語は、子供本人に意識させることなく、環境を整えることで自然に言葉が習得されるのを気長に待つ必要があるのです。
英語ができるようになりたいと思って勉強する赤ちゃんはいませんね。
例えば、子供は an appple というたった1つの言葉を身に付けるために、何カ月とかかることもあります。
大人であれば、りんごは食べ物であり、果物に分類されることを既に知っています。
実物のりんごを見せて an apple と言われれば、大人はその瞬間に言わんとすることが理解できるのです。
an appleという言葉を知るだけなら、大人の圧勝と言えるでしょう。
しかし、大人の方が言語習得において優れているのかと言われると、そんなに単純な話ではないことは誰しもが実感しているはずです。
子供が英単語を口にしたからと一喜一憂しないことです。
子供はじっくり時間をかけて自然に言葉を身に付けます。
単に字ずらを覚えるだけでなく、同時にその言葉が何を意味するのか(概念)まで身に付けていきます。
乳幼児期は全てが発達段階にあります。
日本語という主軸を育てると同時に英語も育てていくイメージです。
早くにおうち英語を始めたからといって、あっという間に大人のネイティブ話者のように英語を身に付けられるようになる訳ではないことは理解しておきたい点です。
母語の成長と一緒に英語も上達する
母語となる言葉の成長は考える力の基礎(土台)となります。
人間は物事を言葉にするからこそ、それを意識することができるのです。
子供も同じでしっかりと思考するには言葉の発達が欠かせません。
おうち英語として身に付ける英語は、日本語と一緒に育んでいくイメージをもつと良いと思います。
日本語をおざなりにして英語だけ上達することはありません。
母語である日本語が主軸となり、外国語である英語も同時に伸びていきます。
バイリンガル育児という言葉がネット上で飛び交っていますが、2言語を同レベルで年齢相応に育てることは並大抵のことではありません。
年齢が上がるほど(日常会話だけでなく)高度な内容を学ぶようになりますので、より難しくなります。
英語を母語レベルにまで高める自信(親が支援できる資源)がなければ、親御さんの母語を子供の自由に使える第一言語としてしっかりと育てることは意識したい点です。
そうすることで、外国語である英語も同時に上達していきます。
子供の言語習得は10~15年を見越した長期的な取り組みです。
意味ない…と感じるおうち英語は時間が足りていない
おうち英語に意味がないと感じる原因は、
- 子供の成長が追い付いていない
- 英語に触れる時間が足りていない
のいずれかです。
前者は母語である日本語で求めていることができているのかを確認する必要があります。
母語でできないことを外国語で求めること自体難しいでしょう。
例えば、引っ込み思案で日本語でおしゃべりができないのに、英語ならできるということはまずありません。
親が決めてしまえるような小さなことでも、日頃から子供の意見を言葉にして言わせるなどを習慣にすることは、言葉を身に付けるには大切な気がします。
後者の「英語に触れる時間が足りていない」については、参考になることが研究結果からも分かっています。
以下、詳しく書いていきたいと思います。
まずは2000時間を目指す
英語をある程度身に付けた方なら納得できると思いますが、外国語の習得は気が向いた時に少しやるくらいでは身に付きません。
まず目指したい英語取り組み時間は、おおよそ2000時間です。
毎日1日1時間で約5年半の計算になります。
体調を崩しているとき以外は毎日取り組めるような環境を整えます。
成果がちらほら見え始めるのが、英語を始めて約1000時間を達成したときからです。
1日1時間毎日続けても2年半以上かかります。
乳幼児から始めた場合は、小学校入学までに達成できるといいですね!
(大人からではなく)子供から英語学習を始めることを良しとされる理由は、必要な努力を親が肩代わりできるからだと私は思っています。
頑張る人は子供ではなく親です。
子供に頑張らせるのではなく、親が頑張って「子供が頑張る必要のない環境」を整えます。
何においても本当に上手くなろうと思ったら、真剣に取り組まないと身に付かないように、英語も毎日取り組む必要があります。
前述したように、子供は意識して勉強することはしませんが(できませんが)、自然に言葉を身に付ける能力を持っています。
意識して行動できる大人(親)が英語に毎日触れられる日常を整えることで、子供が自然に英語を身に付けることができる可能性が高まるのがおうち英語です。
子供自身の成長を待つ
特に第一子を育てる場合、子供がどう育っていくのか分からず手探りで進める部分が大きいはずです。
言語発達に関しても、条件は変わらないでしょう。
日本語と同時に英語を生活環境に取り入れて育てようとした場合、2言語がどのように発達していくのか見通しが立っている親御さんは少ないと思います。
私自身も理論は勉強していましたが、実際に子供を育てることは戸惑いだらけでした。
その際、子供の教育に熱心であるほど、冷静な視点は常に持っておきたいものだと感じます。
何事もやり過ぎは禁物です。
既にお伝えしたように、おうち英語で頑張るのは(子ではなく)親ですので、真面目な親御さんほど成果が見えてこないと焦る気持ちが出てきます。
幼稚園に入園する3-4歳、年中さんになる4-5歳、もうこのくらいのことはできていいはずだと期待をかけたくなる時期とも重なります。
しかし、自分の子供が5‐6歳の年長さんになって、年少さんの子ども達をみると、まだまだ赤ちゃんが一歩踏み出した程度に見えるものです。
それに、ふと成長する瞬間というものが訪れます。
おうち英語は意味がない、成果が見えないと結論付けず、機が熟すのを待つこともおうち英語の取り組みの1つだと私は思います。
おうち英語を意味ないと思えない理由
おうち英語に意味がないと言われてしまうと、おうち英語を進めてきた我が家としては「そうかな??」という気持ちです。
しかし、息子が小学入学を迎える年齢となり、おうち英語も6年目になったからそこの反応であり、2年目くらいに言われていたら「そうかも?」と思っていたと思います。
その理由は、分かりやすい成果が2年目のときには出ていなかったからです。
やはり何事も継続しなければ力にはなりません。
1年間のおうち英語には意味がないかもしれませんが、6年間のおうち英語には意味が感じられるでしょう。
しかし、小学校に入学後、おうち英語を辞めてしまえば全てを忘れると思います。
その場合、それもまた意味がなかったおうち英語になるのだと思います。
私が感じるおうち英語の意味を書いていきます
息子が6歳になり思うこと【動画あり】
息子は今年小学校に入学します。
親の私からすると、ついこの間まで赤ちゃんだったのになという感覚です。
息子が6歳になったということは、おうち英語も6年目ということ。
そんなに長く続けてるっけ?と記憶が吹っ飛んでいる部分もありますが、記事を書いてきたおかげで多少の記憶が保たれています。
日本語も一丁前になってきているだけあり、英語もなかなかのレベルで上達しました。
こちら最近の息子のオンライン英会話の様子で、オンラインを始めてまるっと2年経ったところです。
▷ 2年前の様子に興味があれば、こちら
息子は普通の公立小学校に入学します。
幼稚園の環境と大差はないとはいえ、今後の英語はどうなるのか分かりません。
プリキンダーまでの英語は所詮その年齢相応の英語。発音と流暢さは獲得できてもそれをキープしながら語彙や表現をさらに学び、アウトプットに繋げないといけない。小学校の日本語の波に打たれながら英語力をキープするどころかより一層英語を入れないといけない。キープのままでは何も伸びないよ~
— もなか (@bondi_beach20) January 12, 2024
この投稿が英語を年齢相応に身に付けた幼児の状況を表している様に思います。
これからどうしていくのが課題ですね。
しかし、親である私が今感じることは、おうち英語をやって良かったということです。
大人から始めては乗り越えられない部分が言語習得にはある
この冬休みに初めてインド系インターナショナルスクールの冬期講習(ウィンタースクール)に参加しました。
もう少し早く同年代の子ども達とも英語で話す機会を見つけたかったのですが、コロナの時期でもあったので今になりました。
英語の幼稚園での日々はとても楽しかったようで、英語環境に放り込んでも引け目なく臨んでいける姿は頼もしく感じました。
私はいまだに英語となるとドギマギします。
英語力だけで見れば、実際のところ、6歳の子どもの話すレベルは大したことがありません。
例えば、大学生と息子が同じ試験を受けたら、大学生の方が知能も高く、間違いなく高得点を収めるでしょう。
しかし、その限られた言語力を最大限に使い、知識のある大人以上に自信をもって英語を話す姿は子供だからこそ得られるものではないかと思うのです。
学習過程において不要な劣等感を抱くことなく、一人の英語話者としてラインに立つことができる自信は、おうち英語を通して子供に与えられる最大の贈り物ではないでしょうか。
意味のあるおうち英語を始めよう!
おうち英語がどのように進んでいくか、イメージを掴んで頂けたでしょうか。
私自身はおうち英語には価値があると思っているので、興味のある親御さんにはぜひ試してみて頂きたいと思っています。
思い立ったが吉日、今日からスタートしてみてはいかがでしょうか?
コツコツ継続することが一番大切
冷静に状況を見極め、目に見える成果に一喜一憂せず、コツコツと継続することが、おうち英語には何より大切です。
具体的なやり方に関しては、本ウェブサイトで無料公開している他、はむ先生の個別相談も実施しています。
参考にしていただければ幸いです!
個人的にはおうち英語を進めるにあたって、主軸として頼れる質の高い英会話スクールを利用することをおすすめします。
▷ おすすめ英会話教室リストは、こちら
私は英語教師であり第二言語習得について専門的な知識を持っていますが、外部の専門家に力を借りています。
その理由は、
- 子供の英語力を把握している専門家が自分以外にいる強み
- 必要に応じて専門家からの意見を聞くことができる
- 放っておいては身に付かない部分も言語習得にはある
からです。
親は教師ではありませんから、サポートできない部分が必ずあります。
また、子供と相性がよく、実力のある先生と出会えることは、子供の潜在能力をぐっと引き出してくれるようにも思います。
先生は大事です!
無理強いしなくても続く方法を考える
おうち英語を進める親にできることとして、うまく継続できる仕組みを整えることが挙げられます。
- 早くやりなさい!
- 今日やることはやったの?
- やらないとできなくなっちゃうよ!
などと口うるさく言わなくても、自然に英語に触れるような環境をこつこつと整えるのです。
これは親御さんの役割です。
幼い頃から始めるおうち英語は、子育ての一部として生活に入り込んでいます。
寝る前に読む絵本は英語という習慣を幼い頃から続けていれば、気が付いた時には英語の本を読むことは特別なことではなくなっているはずです。
皆がアンパンマンを見せる時期に、peppa pigを見せるようにするだけで、娯楽のアニメは英語となる可能性が高まります。
おうち英語で整える英語の環境は決して英語の勉強をさせることではありません。
英語カードで言葉を覚えさせることや早くから英検対策をすることなど、全く必要ないのです。
子供だけの特別な能力は、努力しなくとも自然に言葉を身に付けることです。
子供の日常生活に英語が自然に入り込み、無理強いすることなく子供がすすんで英語と触れ合える環境を親御さんが整えてあげることだと思います。
参考にしていただければ幸いです!