近年、学校での英語授業に先立って英語を始めるご家庭も増え、子供たちの英語開始年齢は一律ではなくなりました。
英語の学習開始年齢(または接触年齢)の違いは、言葉の身に付け方にどのような差をもたらすのでしょうか。
この記事では、
- 英語開始年齢によって変わること・変わらないこと
について解説していきたいと思います。
英語開始と同時に意識したい言語年齢
当然のことではありますが、英語の学習開始年齢に正解・不正解はありません。
人間は身に付けた母語を土台として何歳からでも外国語を学べると言われています。
幼くして英語学習を始めたから最終的に高い英語力を獲得できるという保証はなく、遅くに始めたことを理由に十分な英語力を身に付けられない訳でもありません。
一方、英語を始める年齢によって得意・不得意とする学び方があることは事実です。
詳しく見ていきましょう!
言語習得に万能薬はない|継続が最も大切
英語学習開始と同時に親御さんが意識したいのは、子供の言語年齢(日本語と英語)です。
赤ちゃんから始めれば日本語も英語もスタート地点におり、日本語年齢0歳・英語年齢0歳の状態から両言語を育てていくことになります。
小学1年生からのスタートの場合には、日本語年齢7歳・英語は0歳と2言語間に差がある状態から言葉を育てることになります。
※ 日本語を母語とする場合、基礎力は5歳で身に付き、完成は15歳だと言われています。
人間は2つ以上の言葉を持つと言語習得過程で互いに影響し合うため、子供の英語開始年齢によって英語を身に付けるための条件が少し変わると言えます。
両言語を意識的に伸ばしてあげることが大切です。
英語を始める年齢によって変わらないこと
英語を含めた外国語習得は早くに始める程メリットが多いと思われがちですが、
- 英語が身に付くまでに必要な時間
- 身に付ける技能(聞く・話す・読む・書く)の順序
は、開始年齢によって基本的に変わりません。
詳しく見ていきましょう!
英語が身に付くのにかかる必要な時間数
日本語を母語とする人が英語を身に付けるためには、少なくとも2500時間の英語接触時間が必要だと言われています。
毎日1日1時間英語に触れる生活を5年半継続するとおおよそ2000時間ですので、必要な時間の長さが実感できるのではないでしょうか。
乳幼児期に英語に触れ始めれば「早く」言葉が身に付くと思われがちですが、年齢によって時間が短縮されることはありません。
英語を身に付けるのに必要な時間がある程度決まっているため、早くに始めることで必然的に早くに必要時間を達成できると考えることもできます。
一方、子供の成長に応じた年齢相応の語彙・表現を身に付けていく必要から、断続的な学びが求められることは言うまでもありません。
幼いときの方が本人は楽ですね!
聞ける→話せる→読める→書けるの順番が理想
英語スキルを身に付ける理想的な順序も、学習開始年齢によって変わらないものの1つだと言えます。
参考にしたいのは、母語である日本語を身に付けた順番です。
総合的な英語力を高めることを考えると、聞いて分かる▷話せる▷読める▷書けるの順番に、英語力を高めていくことが望ましいと言えます。
そして、総合的にすべての技能を高めていくことが理想です。
親世代の英語教育では英語を聞くこと・話すことが蔑ろにされ、読むこと・書くことを中心に学習が進められました。
その結果、多くの日本人が英語を聞いても分からない・日常会話もままならない状態となったのです。
子供たちには英語を使える言葉として身に付けるためにも、「音から」英語学習を進めていくことが大切です。
ネット環境が整った現代、取り組めることは沢山あります!
英語を始める年齢によって変わること
英語学習開始年齢によって、子供の母語である日本語力が高まるため
- 効果的な英語の身に付け方
が変わります。
母語である日本語力が高まることは、理解・判断・論理などの知的機能の高まりを意味します。
言い換えると、ひとりの人としてできることが増えるため、英語の学び方も変化するのです。
子供の1年の成長は驚くべきものです!
認知能力の発達により変わる効果的な方法!
子供の母語である日本語力の上達に伴い、英語の身に付け方が変わります。
大まかにその境界線は8歳にあり、
- 英語を無意識に身に付けるか
- 英語を意識して学ぶか
という点に違いがあります。
幼い子供の方が言語習得能力が高いと言われる理由は、音声を耳にしているだけで無意識のうちに言葉を身に付ける能力をもつからです。
私の経験では4歳くらいになると日本語力がぐっと上がり、慣れない英語の音声を聞くと理解できないことを理由に嫌がる子供が増え始めます。
しかし、個人差が大きいのもこの時期の特徴ですので、最も近くにいる親御さんが子供にとって効果的なやり方を判断することになります。
乳幼児期の子供は英語を上手くなりたいとは思いませんし、意識して勉強させることは困難です。
言い換えると、幼い子供の英語習得に必要なのは「自然に英語に触れられる生活環境作り」だと言えるのです。
▷ 0歳のおうち英語の始め方は、こちら
▷ 1-3歳は、こちら
▷ 4-6歳は、こちら
具体的な方法は対象年齢のページを参考にしてください!
8歳頃からは日本語で論理的思考ができるようになり、英語を含め意識して物事を学べる年齢に入ります。
何か特別な能力を失ってしまった様に感じるかもしれませんが、子供が成長し本人の意思をもって英語を学べる年齢になるのです。
英語を聞き取る耳を育てることはできますが、子供本人が英語が上手くなりたいと思って取り組む必要があると言えるでしょう。
言葉で言い聞かせることのできなかった乳幼児期を終え、ぐっと成長した子供たちです。
この時期のお子さんには自らの頭で考え英語力を高められる「学習環境」が必要となります。
▷ 7‐9歳のおうち英語の始め方は、こちら
▷ 10-12歳は、こちら
子供の年齢に関わらず英語始めると決めたら継続する
ここからは、早期英語教育に関する主観を書いていきたいと思います。
私は、日本で生活していく上で英語ができなくとも生活に不自由しませんが、英語を身に付けることで人生がより豊かになると思っています。
英語という言葉ができるだけで、見ることのなかったはずの世界を知り、異なる価値観をもつ人々と出会うことができるのです。
日本の学校教育では、英語の授業時間は国語と同じだけ時間が割り振られており、小学校から高校までをあわせて約1200時間にもなります。
少なすぎるか多すぎるかはさておき、英語を自然に話し始めるまでに必要な2500時間のおよそ半分にあたる時間です。
せっかく英語授業だけで必要学習時間数の半分を確保できるのですから、残りの時間を自宅で取り組むことは得策ではないかと思っています。
環境さえ整えば誰でも身に付くのが言語です!
早期英語教育で頑張るのは親御さん
乳幼児期スタートの英語教育は、近い将来、子供が英語習得のために必要となる時間と労力を、親御さんが肩代わりする取り組みと言えます。
幼い子供は無意識に言葉を身に付けることが前提ですから、言葉を教え込むことは得策ではありません。
おうち英語やってる小学生なら英検準2ぐらい相当数が取ってますね。高卒時点で英検準2級以上の取得率50%以上が文科省目標。国数理社で小学生が高卒水準なら神童の頭脳でしょうけど、英語習得は普通の子供でもこのレベルに行ける可能性結構ある。勉強じゃなくて自然な言語習得能力を利用するので。
— 尾島司郎@早稲田大学教授 英語で戦う日本人の育成 (Shiro Ojima, Waseda U) (@Shiro_OJIMA) January 26, 2024
上の投稿にあるように、言語習得に関しては(認知能力ではなく)人間の子供が生まれ持つ無意識で言葉を身に付ける能力を使うため、秀でた能力がなくとも環境さえ整えれば誰しも身に付けられるのです。
一方、日常生活で英語が必要のない日本に住んでいて、勝手に英語が身に付くなどあり得ませんから、親御さんに継続的な努力が求められますとも言えます。
その結果として、子供が気が付いたときには「英語が話せて読めていた」となるのです。
我が家もこのような感じです!
英語に限ったことではありませんが、毎日コツコツ物事を継続することは大変なことです。
一方、親が子供に残してあげられることはそう多くないことも事実です。
大人になった今だからこそできる親御さんの主体的な取り組みで、自分の子供の将来に英語を残せるのなら幸せなことではないかと考えています。
参考にしていただければ幸いです!