英語多読の進め方ロードマップ|読み始めからチャプターブックまで5つの手順

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「多読がいいと聞くけれど、何から始めて、どう進めればいいのか分からない」

英語の多読について、こうしたご相談をよくいただきます。

ORT、サイトワード、聞き読み、チャプターブックなど。

多読の世界には言葉がたくさんあって、どれをいつやればいいのか、全体の地図が見えにくいんですよね。

この記事は、道に迷わないための地図(ロードマップ)として活用ください。

大学英語講師はむ先生

英語講師の「はむ先生(村上里実)」です。教歴は15年、大学で非常勤講師を務め、第二言語習得を専門としています。

聞いてわかることばを文字につなげる最初の一歩から、チャプターブックを自分で読めるようになるまでの道のりを、5つの手順に分けてお話しします。

それぞれの手順で使いやすい教材と、「次へ進むサイン」も添えました。

タップできる目次

英語多読の進め方ロードマップの注意点

読書・多読の取り組みは、子どもの英語力を高める過程の一部です。

おうち英語の全体像からみると、フェーズ3にあたります。

おうち英語の全体像についてまとめた記事

そのうえで、先にお伝えしておきたいことが2つあります。

1つ目は、この道筋は「聞いてわかることば」の貯金の上に成り立つということです。

文字を読むとは、紙の上の記号を、すでに知っている音とことばに変換する作業だからです。

耳の土台がまだのお子さんは、おうち英語フェーズ1から始めることをおすすめします。

※ 小学校高学年スタートのご家庭は、この記事後半にある「小学生・高学年から始める場合|手順は同じ、進む速さが違う」を先に目を通してください。

2つ目は、進み方は一直線でなくていいということです。

読む時期には波があります。波が引いたら止まってもいいし、前の手順に戻ってもいい。

地図があれば、いつでも現在地に帰ってこられます。

おうち英語は多読だけにする?続かなくても英語力が伸びる環境作り

多読ロードマップの全体像

まず、5つの手順の全体像です。

  • 手順1:聞いてわかることばを、文字にあてはめる
  • 手順2:単語から文へ、読める文を長くする
  • 手順3:やさしい絵本で「読めた」経験を積む
  • 手順4:実力より難しい本は「聞き読み」で
  • 手順5:自力読みで、より長く・難しく・幅広く

手順1〜2が「読むことを学ぶ」準備の段階、手順3〜4が多読らしい多読の段階、手順5がその先の「読む力を使って学ぶ」段階への入り口です。

四段階モデルでいうと、手順1〜4がフェーズ3、手順5がフェーズ4の入り口にあたります。

お子さんが今どの手順にいるかを探しながら、その手順から読み始めてください。

手順1|聞いてわかることばを、文字にあてはめる

最初の手順は、頭の中に蓄積してきた「音でわかることば」を、文字と結びつけることです。

たとえば、”dog” という単語。

お子さんの耳には「ドッグ=犬」というつながりが、すでにできています。

ここに d-o-g という文字の並びを重ねて、「見てわかることば」に変えていく。

これが読みの出発点です。

見てすぐわかる単語のことを、サイトワードと呼びます

この手順の目標は、サイトワードを少しずつ増やすことです。

家庭でできることは、2つあります。

1つは、フォニックスの下地づくりです。

音と文字の関係を歌とアニメで学べる動画(Alphablocksなど)をかけ流しておくだけで、「文字には音がある」という気づきが自然に育ちます。

体系的なフォニックス指導は先生に任せてよい領域なので、家庭では下地までで十分です。

もう1つは、音声つき絵本で、音声に合わせて文字を指でなぞることです。

知っている絵本なら、音と文字が重なる体験を無理なく積めます。

どうしたら子どもが英語を読めるようになりますか?

次へ進むサイン

  • 知っている単語を見て、読めるものが出てくる
  • 街の看板やパッケージの文字を、読もうとする

手順2|単語から文へ、読める文を長くする

単語が読めるようになってきたら、次は短い文を読めるようになる練習です。

“I like dogs.” “This is a cat.” のような、一行の文をひとりで読み切る経験を作っていきます。

ここでおすすめしたいのが、文を読めるようになる手伝いは専門家に任せることです。

読み始めの時期は、つまずきやすく、親が教えると衝突しやすい時期でもあります。

リーディング指導がカリキュラムに入っているオンライン英会話なら、レッスンの中で少しずつ読む練習が進むので、親子ともにずっと楽です。

Novakidのレビュー|息子が4歳から5年続けて見えたこと

教材は、段階別リーダーの出番です。

次へ進むサイン

  • 短い文を、ひとりで最後まで読み切れる
  • 繰り返しのある本なら、先を予想しながら読んでいる

手順3|やさしい絵本で「読めた」経験を積む

ここからが、多読らしい多読の始まりです。

この手順ですることはシンプルで、やさしい絵本を、冊数多く読むこと。

1冊の難しい本より、10冊のやさしい本です。

レベル選びの合言葉は「簡単すぎるかな、でちょうどいい」。

すらすら読めて、「読めた!」で終われる本を積み重ねることが、次の1冊への意欲になります。

この時期に相性のよいシリーズを2つ挙げます。

  • Elephant & Piggie:ほぼセリフだけで進む名作。吹き出しの短い文を、笑いながら読めます
  • Pete the Cat:繰り返しとリズムで読ませてくれる、自力読み期の定番

冊数を確保するには、読み放題のサービスも便利です。

絵本ナビえいごOxford Reading Clubなら、レベルに合う本を切らさずに済みます。

そして、この頃から記録を始めるのがおすすめです。

多読は成果が見えにくい取り組みなので、読んだ本がたまっていく実感が、一番の支えになります。

ただし、記録は義務にしないこと。読んだ本が本棚に並んでいくのを、親子で眺めて楽しみましょう。

そのくらいの位置づけがちょうどいいです。

読んだ本を登録するだけで本棚に背表紙が並び、語数も自動計算される無料の多読アプリを作りましたので、よければお供にどうぞ。

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次へ進むサイン

  • 1冊を、自分のペースで最後まで読める
  • お気に入りのシリーズができて、「次はこれ」と自分で選ぶ

手順4|実力より難しい本は「聞き読み」で

自力で読める本が増えてくると、あるギャップに気づきます。

自分で読める本のレベルと、聞いて理解できるお話のレベルの差です。

耳は章立ての物語を楽しめるのに、自力読みはまだ絵本レベル。この時期は、誰にでもあります。

このギャップを埋めてくれるのが、聞き読みです。

聞き読みとは、音声を聞きながら、文字を目で追う読み方のこと。

音声が読む作業を助けてくれるので、自力読みより一段上のレベルの本を、内容を楽しみながら読めます

聞き読みには、文章から場面をイメージする力を育てるという大切な役割があります。

絵本と違って、章立ての本は絵の助けが減っていきますので、言葉だけを頼りに、頭の中に場面を描く練習になります。

この力は、英語で考え、英語で学ぶ力(フェーズ4)の土台になります。

聞き読みに向いた初級チャプターブックを2つ挙げます。

  • Frog and Toad:短い章立ての入門にぴったりの、静かで温かい物語
  • Nate the Great:少年探偵もの。1冊完結で達成感を作りやすい

音声つき書籍の入手方法は、音声付き英語絵本のおすすめ購入場所はどこ?にまとめています。

次へ進むサイン

  • 聞き読みした本を、音声なしでも読み返そうとする
  • 音声より先に、目が次の行に進んでいることがある

手順5|自力読みで、より長く・難しく・幅広く

最後の手順は、チャプターブックの自力読みです。

聞き読みで慣れた本を自力で読み返すところから始めて、少しずつ、長く、難しい本へ。

定番のMagic Tree Houseあたりを自分のペースで読めるようになったら、読む力は立派にひとり立ちしています。

そして、ここからが本当のスタートでもあります。

物語だけでなく、動物、宇宙、歴史など。

お子さんの興味のある分野のノンフィクションに進みます

この段階では読む力が、新しいことを知るための道具に変わっていくときで、4段階モデル「英語を学びの道具にする(フェーズ4)」の入り口です。

この先、読書が英語力の伸びをどう左右するのかは、こちらの記事でお話ししています。

9歳の壁は英語にも!会話からアカデミックレベルへ進むには読書

小学生・高学年から始める場合|手順は同じ、進む速さが違う

「うちはもう高学年。今から手順1なんて、遅すぎるのでは」と感じた方もいるかもしれません。

結論から言うと、手順は同じです。

実年齢が何歳でも、英語の学びは英語年齢ゼロから始まるので、音と文字をつなげる手順1を飛ばすことはできません。

ただし前提として、聞いてわかる英語の土台(フェーズ1フェーズ2)は、多読と並行して育てていってください

でも、ここからが大切なところです。

手順が同じでも、赤ちゃんと小学生(特に高学年)では進む速さはまったく違います

遅く始めることは、遅れることではありません。

成長した子どもには、幼児にはない強力な武器があるからです。

現役英語講師はむ先生

私は中学生スタート。言語は何歳からでも学べます!

1つは、頭を使って学べることです。

幼児は、音と文字のつながりを長い時間をかけて体で覚えていきます。一方、高学年の子は「aはこう読む、chはこう読む」という規則を、規則として理解できます。

フォニックスも「学習」として体系的に取り組めるので、幼児が何年もかけて通る手順1〜2を、数か月単位で駆け抜けることも珍しくありません。

第二言語習得の研究でも、年齢が上の学習者ほど学習初期の進みは速いことが知られています。

もう1つは、日本語の読書力の高さです。

日本語で本を読み、文章から意味を取り出し、考える経験を積んできた子は、「読んで学ぶ」構えがすでに母語で完成しています。

この力は英語にも引き継がれるので、英語の語彙が追いついてくれば、手順3以降の伸びが速いのです。

つまり、高学年スタートの子は、同じ地図を、速い足で歩けると言うことです。

順番を飛ばそうとせず、速く歩けることを活かす。

これが高学年からの多読の正しい戦略です。

学年別の詳しい進め方は、こちらの記事もご覧ください。

7歳8歳9歳で始める英語|やる気とタイプ別の進め方

10歳11歳12歳で始めるおうち英語|高学年からの追い上げ方

ロードマップを進むときの3つの心得

最後に、この地図の歩き方を3つだけ。

1. 順番は飛ばせない、でも速く歩ける

実年齢が何歳でも、英語の学びは英語年齢ゼロから始まります。

手順を飛ばすことはできませんが、年齢が上の子ほど速く進めます。

始める手順は年齢ではなく英語年齢で選んでください(詳しくは前のセクションへ)。

2. 進み方は波でいい

5つの手順は一方通行ではありません。

読まない時期が来たら止まっていいし、難しく感じたら前の手順に戻っていい。

波があっても、英語に触れてさえいれば土台は育ち続けます。

おうち英語は多読だけにする?続かなくても英語力が伸びる環境作り

3. 日本語の読書が土台を支える

母語で育てた「読んで考える力」は、英語の読みに転移します。

英語の多読を進めたい時期こそ、日本語の読書時間を削らないでください。

両方の言語で本を読む子が、最終的に一番遠くまで行けます。

多読の進め方についてよくある質問

Q. 多読は何歳から始められますか?

年齢よりも、聞いてわかる英語の貯金があるかどうかで判断してください。

耳の土台ができていれば、手順1は年中〜小学生のどこからでも始められます。

土台がまだなら、まずフェーズ1の聞く時間からです。

高学年からのスタートでも遅くありません。

むしろ速く進める強みがあります(詳しくは「小学生・高学年から始める場合」のセクションへ)。

Q. サイトワードは暗記させた方がいいですか?

カードで暗記させる必要はありません。

音声つき絵本やフォニックス動画の中で、繰り返し出会ううちに自然に覚えていくのが理想です。

「勉強」にすると、読みの入り口で英語が嫌いになるリスクの方が大きくなります。

Q. 聞き読みばかりで、自力読みをしません。大丈夫?

大丈夫です。

聞き読みも立派な読書で、インプットとしての価値はむしろ大きいくらいです。

聞き読みで内容を知っている本は、いつか自力読みに再挑戦するときの一番やさしい1冊になります。

焦らず、聞き読みの本棚を増やしてください。

Q. 1つの手順にどのくらいの期間がかかりますか?

お子さんによって本当にさまざまで、数か月の子もいれば、年単位の子もいます。

わが家は波を繰り返しながら、手順1から5まで4〜5年かけて歩いてきました。

期間よりも、「次へ進むサイン」が出ているかどうかを目安にしてください。

Q. 手順を戻ってもいいですか?

もちろんです。

むしろ、戻れることがこの地図の一番の使い道です。

難しい本でつまずいたら、1つ前の手順のやさしい本に戻って「読めた」を補給する。

それで、また進めるようになります。

まとめ|地図があれば、波があっても迷わない

英語多読の道のりを、5つの手順でお話ししました。

音と文字をつなげ、文を読み、やさしい本を積み、聞き読みで背伸びして、自力読みへ。

この順番さえ押さえておけば、途中で止まっても、戻っても、また歩き出せます。

多読は、速く進むことより、やめないことがすべてです。

お子さんの波に合わせて、この地図と一緒に、ゆっくり進んでいってください。

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